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「世界の福本」盗塁を語る

元阪急・福本豊インタビュー「今の選手も50個ぐらい簡単に行けると思うで」

 

盗塁ということになれば、語っていただくのはこの人にとどめを刺すだろう。日本プロ野球最多の通算1065盗塁、シーズン106盗塁の記録を持つ「世界の盗塁王」福本豊氏だ。盗塁論から盗塁のコツ、さらには現役の走り屋へのメッセージをうかがった。
取材・構成=藤本泰祐、写真=BBM

スタートでは体が起きないように気をつけ、3歩目あたりで打者を確認


すり傷を大きな傷にするのが盗塁の価値


 盗塁の価値は、1本のヒット、1つのフォアボールから、すぐに得点圏に行けるということでしょう。あっという間にこちらはチャンス、向こうはピンチになる。僕の現役時代も、自分が出塁して盗塁を決めたら、大熊(大熊忠義)さんが右へ打って三塁へ、そしてヒデ(加藤秀司)が犠牲フライとかヒットであっという間に1点、というのは結構ありましたよ。相手にしてみたら「すり傷のはずが、いつの間にか大きな傷になっとった」という感じでしょうね(笑)。

 プレーとしての魅力もあります。それは何と言っても、「勝負している」というスリルでしょう。セカンドベースを取り合いするという、バッテリーとの勝負。僕なんかは走ることは分かり切っているだけに、警戒される。それをかいくぐって成功すれば、やっぱり快感ですよ。

 ただ、盗塁というのは、守備側が完ぺきなプレーをすれば、アウトになるようにできている。だから、ピッチャーのクセなどを研究することが必要になってくるんですけどね。

 よく、盗塁はスタート、スピード、スライディングの「3S」だと言われますが、この中で一番大事なのは、やっぱりスタートだと思いますね。スタートを切る勇気が大事だと思います。僕の場合は、もう、70%の成功確率があると思ったら、スタートを切っていましたね。それぐらいあったら、もう思い切りよう行かな。

 僕は、「足にはスランプはない」と思います。そら、「ちょっと疲れたな、足が重いな」と思うときはありますよ。でも走るのなんて3秒か4秒なんですから。それぐらいのことにいちいちスランプがあったらえらいこっちゃ(笑)。

 今の選手を見ていると、ちょっとスタートを切るのを自分で難しくしているところがあると思います。というのは、皆・・・

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