プロ13年目。これまで先発登板は一度もなく、リリーバー一筋で生き抜いてきた。無我夢中で腕を振り、手にした幾多の勲章。それでもまだまだ道半ば。さらなる高みとチームの勝利のために、北の鉄腕は今日も試合終盤のマウンドへと上がる。 ホールドの価値を高めるために
関西弁で、あっけらかんと
宮西尚生は言う。「うん、まだ通過点やし」。8月12日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)で通算350ホールドを達成。史上初であり、歴代2位は17年限りで現役引退した
巨人・
山口鉄也の273ホールド。すでに宮西の一人旅が始まっているが、歩みを止める気配はない。中継ぎ一筋のプロ野球人生で宿命を背負った。「ホールドはまだやっぱり“微妙な価値”なので。その価値を高めるためにも、もっと取り続けていきたい」。
ホールドは2005年から正式採用され、公式記録としての歴史は浅い。「詳しいルールって伝わりづらい部分も正直あると思う」。もともとは1986年にアメリカで考案された救援投手の評価指標。勝敗、セーブが付かないリリーバーが、セーブの条件を満たす状況、または同点の状況で登板し、一死以上のアウトを取り、リードまたは同点を保った場合に与えられる。僅差の終盤、プレッシャーのかかる場面で逆転や勝ち越しを許さず、次の救援投手へつなぐことができた投手にホールドが付く。想像以上にタフで難易度の高い仕事に対する評価である。
今年で86年の歴史を重ねるプロ野球の中では新しい記録であり、宮西が言う“微妙な価値”の真意はプロ野球創設から約70年間は同様のケースでも記録として残っていないため、数字の偉大さが比較しづらいことに起因する。ただ、あらゆる修羅場をくぐり抜けてきた男の思考は、はるかに上を行く・・・
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