目標と公言していた新人王を、そのとおりに手に入れた。チーム最多の10勝、リーグ2位の防御率1.91という数字は、すでにエース級のそれだ。2020年はスーパールーキーの名をほしいままにした右腕に、新人王への道のりを振り返ってもらうとともに、21年への意気込みを聞いた。 構成=藤本泰祐 写真=松村真行、BBM 自分でも100点に近い採点にします
「目標は新人王」。そう宣言して臨んだルーキーイヤーの2020年。ほぼ1年間、先発ローテーションを守り切り10勝、防御率も1.91をマークした。新人王争いではシーズン半ばまで巨人・戸郷翔征に勝利数などで先行を許したが、後半の追い込みで勝利数も逆転。見事に宣言どおりに新人王を手にした。逆転を可能にした精神状態とは、どのようなものだったのだろうか。 ──まずは、2020年を振り返っていただければと思いますが、プロ入りのときから目標として公言していた新人王を現実に手にしました。率直な感想はいかがでしょうか。獲得できた一番の要因はどこにあると思われますか。
森下 もう、(新人王は) 獲(と)りたいというふうに思っていたので、その目標が達成できてうれしく思います。達成できたのはやっぱり、周りのいろいろな人の支えがあったからだと思います。
──プロの世界で1年間投げ切りました。どんなことを感じましたか。
森下 やっぱり1年間投げ抜くということはキツいことだなと、あらためて思いましたし、でも、それができたっていうことは、自分にとって今後のプラスになると思います。
──20年シーズンを100点満点で自己採点すると何点でしょう?
森下 そうですね、自分でも100点に近いぐらいの採点にすると思います。
──新人王争いでは、途中まで、巨人の戸郷翔征投手に勝利数などで先を行かれていましたが、そのときの心境はどうでしたか。
森下 いやもう、先に行かれた状態だったので、終盤のほうはやっぱりとにかく、勝たないと逆転できないし、自分にできることは勝つことしかないですから、1試合1試合、「絶対に勝つ」という気持ちで入りました。常に試合に入る前のところで、いい状態で臨めるように。トレーナーの方だったりが、そういうケアをしっかりしてくださって、万全な状態で送り出してもらっていたので、そこへの思いと、自分自身の「勝ちたい」という思いを合わせて頑張りました。そこは(戸郷投手に)刺激をもらいながらやっていった感じです。
──ご自身の中で、調整法やピッチングについて、「プロでもやっていける」という自信をつかむタイミングは、どこかであったのでしょうか。
森下 プロの世界でやっていく中で・・・
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