首位打者の三番打者に本塁打王の四番──。得点力不足と揶揄(やゆ)された昨季だが、今季は打線の軸が機能したことは成績が物語る。ただ、そんな数字以上にチームを強くさせたのは、青学大時代から気心が知れる2人の絆だ。ラオウの愛称が浸透した四番・杉本裕太郎の覚醒には、三番・吉田正尚の存在があり、吉田正の故障離脱後に、ナインがさらに結束したのは、杉本の存在がある。 相乗効果を生んで
苦境に立たされるほど、選手やチームの真価が問われるもの。であれば、飛躍を遂げた
オリックスの強さは揺るがぬものだったと言える。今季の正念場は2度。ともに絶対的な打線の軸・吉田正尚の故障離脱によるものだ。
優勝へひた走るチームに激震が走ったのは9月のこと。3日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)の9回に遊撃内野安打を放った際に吉田正が左太ももを負傷。翌4日はスタメンを外れると、4対11で大敗を喫し、登録を抹消された5日も4対12で連敗を喫した。11日からは今季ワーストタイの4連敗。主砲の離脱で、チームから勢いが消えた。
誰もが認める実力者。吉田正の存在の大きさを、まざまざと見せつけられた中で、奮起したのが四番・杉本裕太郎だった。吉田正が離脱以降の打率は.311と打線を鼓舞。6本塁打とポイントゲッターとして変わらぬ働きでチームに勇気を与えた。
背番号34の存在の大きさを誰より感じてきた。青学大でも2学年下の吉田正と三、四番を形成。打棒を肌で感じ、社会人・JR西日本を経て、奇しくも2015年秋のドラフトでともに入団した。ただ、順位は1位の吉田正に対し、杉本は10位。「同期入団ですけど、正尚だけ大活躍していて、僕はずっとファーム。一緒に活躍したい思いはあった」。思いが形となった今季、再び三、四番を組む中で、スゴ味を目の当たりにする。四番に定着しつつあった5月に、冗談交じりに口にした。
「アイツいつも塁にいるんですよ。また、(塁に)出たって(笑)。だから、僕は四番というより、正尚の後ろを打っているだけ。そんな感覚にしてくれたのは、アイツが打ってくれるからなんです」
四番の重圧を軽減させた存在は・・・
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