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79勝以上のエースの存在感
負けない投手も故障には勝てず


写真=湯浅芳昭、BBM

 最後は自らの手で幕を引いた。支配下登録入りの期限が目前に迫った7月28日、斉藤和巳の退団が発表された。翌29日にはヤフオクドームで会見。「悔いが残る。悔いしかない。応援してくれたファン、支えてくれた人には、願いがかなわずやめることになり、おわびしたい」。度重なる右肩手術からの復帰を目指し、6年に及んだリハビリ生活に区切りをつけ、大粒の涙とともに山あり谷ありだった18年のプロ野球人生にピリオドを打った。

 1996年に南京都高からドラフト1位で入団。190センチを超える長身の大型投手として期待されながら、一軍定着までには時間がかかった。98年に最初の右肩手術を受けると、球団からは力強い打撃を買われ、野手転向の打診を受けた。「野手になるという話は何度もあった。でも投手じゃなかったら、今の自分はない」。00年にようやくプロ初勝利を挙げると、才能が開花したのが03年。自身初の開幕投手を勝利で飾ると、破竹の勢いで連勝街道をまっしぐら。20勝3敗で最多勝を獲得、最優秀防御率、最高勝率のタイトルも手に入れ、初の沢村賞に選出された。その年から4年連続で2ケタ勝利を挙げ、05年は開幕から15連勝を記録。06年は18勝をマークして再び沢村賞に輝き、球界を代表する本格派投手として球史に名を刻んだ。

 03年からの4年間で64勝という驚異的な成績の一方で「悲運のエース」という側面もある...

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