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ミニ特集 part.2 頑張れ!「1972年度生まれ」の選手

和田一浩[中日・外野手]、西口文也[西武・投手]など

 

先日閉幕したソチ五輪では、41歳にしてメダリストとなったスキージャンプ男子日本代表・葛西紀明氏の活躍が日本のみならず世界を感嘆させた。
葛西氏と同級生の現役プロ野球選手は現在4人いる。
記録到達を目指す者、レギュラー奪取に燃える者、新たなポジションに挑む者、そしてケガからの復帰に努める者――、立場はそれぞれ異なるが、皆もう一花咲かたいという強い気持ちを抱き、2014年シーズンに臨んでいる。


▲スキージャンプソチ五輪日本代表・葛西紀明氏[写真=AP]



若々しいボディで「2000本」目指す
和田一浩[中日ドラゴンズ/外野手]
2013年成績:142試合 136安打18本塁打76打点、打率.275

 新シーズンに懸ける意気込みなど、言葉にする必要もなかった。一目瞭然とはこのことである。キャンプインを控えた1月、佐賀・武雄市で行った自主トレでは、年齢不相応の驚異のボディを披露した。「疲れで2年連続9月に成績を落としている。体を変えないと。若々しく1年間働けるよう、思い切って体重を減らしました」

 普段90キロはあった体重を、この時点で84〜85キロまで絞っていた。これは、プロに入ったばかりの西武時代と同じ数字だという。

 その成績が、変化の必要性を如実に物語っていた。13年シーズンは8月に月間打率.355と好成績をマークしながら9月に入ると同.228と急降下。その前年も8月の月間打率.340から9月に同.241。深刻な事態が続いていたのだ。優勝争いをしていれば、1年の中で最も結果が求められる時期がこの9月。誰もが疲労で苦しむ夏場を乗り切るために何が必要なのか。和田が導き出した答えは肉体改造だった。

 夫人の協力の下、オフに徹底した食事制限を行った。食べる物は肉ではなく魚中心にし、野菜を多く摂取する。3カ月かけて体重を落とした。

 春季キャンプでは見違える体格にチームメート、関係者から「何があった?」と驚きの声が上がった。キャンプ中盤に体調を崩して練習を休むこともあったが、すぐに復帰。オープン戦ではまずまずの数字を残しており、調整は順調のようだ。

 18年目の今季、この上ないモチベーションがある。通算2000安打まで、残すところあと「100」という数字だ。「そのために野球をやっているわけではない」と本人は語るが、年々押し寄せる衰えの波に抗うための好材料となる。レギュラーとして試合に出場し、昨季と同じペースで打てば8月には到達できる。ただ、平田ら若手外野手が伸びてきており、大砲・ゴメスも新加入。その座は安泰とは言えないのが現状だが、定位置を渡すわけにはいかない。「春先から絶好調で2000(安打)の目標まで突っ走る。4年ぶりに3割を打って絶対に優勝したい」

 打者なら誰もが欲しがる勲章に王手をかけている。昨季は43歳の谷繁元信が一足先にその高みへ到達。チームにはさらに年上の48歳、山本昌がおり、幸いなことに老け込むような条件がない。記録達成には自分との勝負がカギとなりそうだ。

▲オフの期間に肉体改造を行った和田。今季は2000安打、300本塁打と記録達成が期待されている



チームが困ったときのため最高の準備をする
稲葉篤紀[北海道日本ハムファイターズ/内野手]
2013年成績:93試合53安打3本塁打24打点、打率.203

 ヤクルトから日本ハムへ移籍した2005年から、毎年不動のレギュラーとして活躍。12年は栗山監督1年目での優勝に貢献した。だが、翌13年は03年以来初めて、出場試合数が2ケタ台に落ち込んだ。

 13年はWBCに出場するため、チームの春季キャンプを早々に切り上げた。さらに、日本ハムではコーチ兼任に任命される。だが、コーチを強く意識し過ぎてしまい、自身の調子を落としてしまう。結果、極度の打撃不振で、日本ハム加入以来、初めてレギュラーの座を失った。

 今季は再び選手一本に絞り、再スタート。キャンプでは、初日から元気な姿を見せ、最初の紅白戦から打席に立つなど、一からレギュラー争いが始まった。ライバルは多い。一塁は新加入のミランダが最有力候補で、アブレイユも一塁しか守れない。昨年まで三塁だった小谷野も一塁の候補に挙がっている。この3人はいずれも、DHのライバルにもなる。

 外野手で起用される可能性も高く、栗山監督の指示でキャンプの途中から外野の守備練習に加わった。ただ、空いている右翼と左翼のポジションを巡っては、10人の選手と争わなければならない。ルーキーの岡が自慢の足を生かして右翼の候補に挙がっており、谷口が打撃力で左翼のポジション取りに向けて積極アピール。3月4、5日の巨人戦で両翼を守った大谷も、外野守備で好プレーを見せた。大谷は投手中心で起用される予定だが、野手として出場する際は、DH、外野の両方でライバルになる。

 複数のポジションで試される難しい状況にあるが、そこは経験から生まれる余裕があるのか、前向きだ。「この歳になって、ここをやって、あそこをやってと言われるのはありがたい。本当に困ったときにベテランを使うと思うので、そのときのために最高の準備をしておかなければ」

 キャンプを終えたとき、栗山監督からは感謝の言葉が出た・・・

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