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沢村栄治&西村幸生の故郷・伊勢で65年ぶり伝統の一戦

 

▲試合前には両軍がそろって記念撮影。この試合は全面改修を終えた倉田山公園野球場のこけら落としゲームでもあった



球団創設80周年を迎える巨人と、来季が80周年の阪神が手を組み、「伝統の巨人阪神戦80周年企画」として3月10日のオープン戦(倉田山公園野球場)を開催。舞台となった三重県伊勢市はプロ野球草創期を支えた元巨人・沢村栄治氏、元阪神・西村幸生氏のゆかりの地であり、巨人は永久欠番となっている背番号「14」、阪神は「19」と両氏が着けた番号を全員が着用し、伝統の一戦を盛り上げた。

写真=前島進

 伊勢市での伝統の一戦は、1949年に同市出身の沢村栄治氏、西村幸生氏の追悼試合が行われて以来、65年ぶり。全面改修を終え、今年再オープンしたばかりの倉田山公園野球場の「こけら落とし」でもあった3月10日のオープン戦チケットは、ソールドアウト。平日の13時試合開始だったが、8901人が来場した。

 厳しい寒さの中で行われた試合は、雪の影響で約10分間の中断を挟んだが、沢村氏の「14」、西村氏の「19」をそれぞれまとった両チームが、雪をも溶かす熱戦を披露。阪神、巨人、阪神とリードを奪い合う展開の中、両軍合わせて27安打の乱打戦を制したのは今季、阪神よりも1年先に創設80周年を迎えた巨人だった。

 3点ビハインドの8回裏、無死満塁で打席に立ったルーキーの小林誠司が、値千金の満塁弾で勝負あり。偉大な先人の故郷で逆転勝ちを収めた巨人・原辰徳監督は「(沢村氏、西村氏は)我われ々われの大先輩。現在ジャイアンツを動かしているメンバーが(伊勢市で)試合をできたことは意義がある。良いゲームができたと思います」と笑顔でメモリアルな一戦を振り返った。

▲始球式を行う沢村氏の長女・酒井美緒さん(右)と、西村氏の甥・西村隆明さん



▲阪神は和田監督以下全員が西村氏の「19」のユニフォームを着用。なお、現在は藤浪晋太郎が背負っている



▲巨人は原監督以下全員が永久欠番で沢村氏が背負った「14」のユニフォームを着用して同ゲームに臨んだ



▲伝統の一戦で主役となったのは巨人ルーキーの小林誠司。3点ビハインドの8回に逆転のグランドスラムを放った



▲球場の全面改修にともない、両氏の偉業と功績をたたえるために公園内の別々の場所に設置されていた胸像も、一塁側のスタンド裏に移設。この日、除幕式が行われ、親族を代表して沢村氏の長女・酒井美緒さんと西村氏の長女・津野田ジョイス幸子さんが出席した。




西村幸生

にしむら・ゆきお●1910年11月10日生まれ。三重県出身。宇治山田中から愛知電鉄、関大を経て37年に26歳でタイガース(現阪神)へ入団。制球力に富んだ投手で、初年度から15勝を挙げてチームの優勝に貢献した。肩の故障もあり、39年までのわずか3年間で退団(その後、40年は満州の実業団・新京電電でプレー)しているが、通算55勝21敗を記録している。45年に34歳で戦死。77年に野球殿堂入り(特別表彰)している。

沢村栄治

さわむら・えいじ●1917年2月1日生まれ。三重県出身。34年に京都商を中退し日米野球のため全日本入り。11月20日の草薙球場での一戦では、快速球とドロップでベーブ・ルースらを擁する全米打線を8回1失点9奪三振。のち大日本東京野球倶楽部、巨人。プロ野球最多タイ記録の3度のノーヒッターを記録するなど、通算63勝22敗。太平洋戦争中の44年、27歳の若さで戦死。59年に野球殿堂入り。最初の5人のうちの1人に選ばれた。
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