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セ・パの雄の勝算と死角

巨人、ソフトバンクの今季を占う

 

2014年のシーズンが開幕。順位予想を行った前号(4月7日号)では、セは巨人、パはソフトバンクが制す、というのが大半の見方だ。
開幕3連戦を巨人は2勝1敗、ソフトバンクは3連勝で終えた。そこから見えた、両チームの勝算と死角をリポートする。

※成績は3月30日現在

【読売ジャイアンツ】

理想の打線を作るため、失敗を恐れない大胆采配

 予想をはるかに超える破壊力だった。阪神との開幕3連戦で巨人打線が記録した安打数は順に14、16、17、しめて47本。ホームランは5発。坂本勇人片岡治大アンダーソンが各1本、ロペスに至っては、開幕戦でソロ、3戦目は満塁弾の2本塁打を記録した。

 阪神の開幕投手・能見篤史は5回途中でKO、3戦目の榎田大樹は3回でマウンドから引きずり下ろした。ともに昨年序盤は毎カードのように苦しめられた左腕だ。対阪神のミーティングに時間を割いたのは開幕前日の27日と試合当日のみだったが、各選手が昨季の残像と失敗の記憶を頭にたたき込み、試合に臨んだ。攻撃陣のミーティングを主導する橋上秀樹打撃コーチは、2投手を打ち崩すことができた要因を「全体の状態がいいって言ってしまえばそれで終わりだけど、しっかりとボールを見極められたことかな」と分析する。

▲開幕3連戦は3試合連続の2ケタ安打。「これを続けていければ」と指揮官



 象徴的だったのは、来日2年目を迎えたロペスだ。3戦合計で15打数9安打10打点の大当たり。1年目は、打率.303をマークしたとはいえ、どちらかといえば地味な存在だったが、今年は大ブレークを予感させてくれた。ロペス本人も「日本で1年間やってみて、相手投手の球筋や攻め方もだいぶ頭に入った。1年経験できたことは大きいよ」と自信をのぞかせている。

 2位・阪神に12.5ゲーム差をつける独走でセ・リーグ連覇を果たした昨季から、さらに充実した今季の打線。しかも、まだ手探り状態なのだから、底が知れない。事実、オープン戦中から、ほぼ固定されていたのは、三番・長野久義、四番・村田修一、五番・阿部慎之助の3人のみ。だが、30日の第3戦ではその中軸トリオですら“解体”した。開幕2戦目で3三振を喫した坂本を下位打線に組み込んだことに伴い、長野を一番で起用。状態が良くない阿部は六番に下げた。「固定観念はまったく持たずに、一人ひとりをフラットな目で見ていく」と原辰徳監督の宣言どおりに開幕3戦目で早くも、5人の順番を入れ替える大シャッフルだった。

 監督通算11年目に突入した指揮官の理想とする攻撃陣が整いつつある。得手不得手はあっても、全選手が「チームの勝利のため」に勝負に徹する。ときには村田に、ときには阿部にすらバントのサインが出る。元メジャー・リーガーのロペスも無死二塁の場面が訪れると、平然と右打ちで走者を進める。選手自身がまずどうすべきかを考え、ベンチがサインで背中をポンと押す。指揮官の野球観が深くまで浸透してきた証だ。「オールスター明けぐらいに固まれば。何がいいのかを探す、求めていく」と原監督。理想の打線を作り上げるためならば、失敗も恐れない。指揮官の言葉どおりならば、オールスター明け、他球団の投手陣が手のつけられない打線となっていることに疑いの余地はない。

大型&効果的補強が上々の結果を生む

 シーズン開幕を一軍で迎えた新戦力は、FA権を行使して移籍してきた片岡(前西武)、大竹寛(前広島)、中日を自由契約となった井端弘和。キューバ出身のアンダーソン(前レイズ傘下3A)、昨年の韓国リーグ最多勝投手のセドン(韓国/SK)に、ドラフト1位の小林誠司(日本生命)と6人(セドンは開幕2カード目で先発予定)。大補強といってしまえばそれまでだが、あと1勝で日本一を逃した昨季の、あと1勝分足りなかった差を確実に埋めるための補強だ。

 開幕戦に“二番・二塁”でスタメン出場した片岡は、5回に能見から右越えの1号3ランを放ち、華々しく巨人デビューを飾ると、2戦目は4打数3安打の猛打賞。3戦目も1安打で3戦連続安打を記録した。原監督が現役時代に背負っていた「背番号8」を継承した男は上々のスタートを切ったと言える。

▲開幕戦で移籍後初安打を初アーチで記録した片岡



 大竹も3戦目に先発し、7回途中までを8安打2失点に抑えて、移籍後初勝利を飾る。直球にスライダー、カーブ、シュート、チェンジアップを駆使し、阪神打線に狙いを絞らせない。オープン戦3試合を無失点で切り抜けた右腕は、重圧をはねのけ、「一生忘れられない1勝になる」と笑顔を見せた。

 現状で数字には表れていないが、効果的な補強といえるのは・・・

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