オリックスで優勝目指す
▲森脇浩司監督[左]と固い握手を交わす中島。19季ぶりの優勝を目指し、地元・関西で再スタートを切る
3年ぶりの日本球界復帰。古巣の
西武、
オリックス、
阪神、
中日らがラブ
コールを送っていたが、“ナカジ”こと
中島裕之が再スタートを切るために選んだ場所はオリックスだった。兵庫県で生まれ、高校を卒業する18歳までを県内で過ごした中島にとっては、いわば凱旋復帰である。
野球との出合いは伊丹市立桜台小時代。現在のチームメートで幼なじみの
山崎勝己とともにバッテリーを組み全国大会に出場すると、天王寺寺川中では宝塚シニアに所属。その後は伊丹北高を経て、2001年ドラフト5位で西武に入団。徐々に頭角を現すと、日本代表として北京五輪や第2回WBCに出場するまでの成長を遂げた。そして2年前、大きな夢を抱いてアメリカに渡った。
しかし、メジャー・リーグの世界はそんなに生易しいものではなかった。12年オフ、アスレチックスと総額650万ドルの2年契約、出来高制で合意したが、1年目は初っ端から深刻なスランプに陥り、左太モモを故障。2年目も不調に苦しみ、結局、2年間でメジャーへの昇格は一度も成らなかった。そんなとき、日本から複数のオファーが届いた。正直、メジャーでやりたい気持ちもあったというが、「年もだんだん行くし、いつまでやれるかは分からない。ダラダラやっていてはダメだと思った」と、その思いを断ち切った。
9月に骨折した左手首はすでに完治しており、今は心身ともに万全の状態で日本球界に復帰した。契約は3年総額12億円(推定)で背番号は1。圧し掛かるプレッシャーは図りしれないが、「オリックスというチームが今、変わってきている。その中で自分が貢献できれば。オリックスには優勝するために来た。少しでも力になれるように頑張りたい」と、会見では終始笑顔を見せた。
優勝を争いながら、最後の最後で勝ち切れず2位に終わった今季。19季ぶりVを目指し、チームは積極的な補強を続けてきた。その中で大きな目玉となったのが中島の電撃入団である。加藤康幸編成部長は「柱になる選手は急いで作れない。優勝を手伝ってほしかった。(先に獲得した)小谷野選手も中島選手も優勝を経験しているし、ガッツがあるので加わってほしかった」と、獲得に乗り出した理由を説明。会見に同席した森脇浩司監督も、「心身ともに計算できる強さを持っている」と評価した。
「優勝するために来た」
その言葉を現実のものとするためにも、新天地での活躍を誓う。