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寝耳に水だった昨年のトレード。高卒4年目にしてドラフトでの指名球団を離れることになったが、それは中日という新天地が才能を見込んだからにほかならない。レギュラーを射止めて自分の才能を発揮し切ることが、両球団への最高の恩返しだ。
取材・構成=吉見淳司 写真=大賀章好

課題を見つけた1年


 生きのいい若手がベテラン陣に挑み、各ポジションで激しい定位置争いが繰り広げられている中日だが、中でも激戦模様なのがショートだ。昨年に最多出場のエルナンデスは腰痛で二軍落ち。亀澤恭平遠藤一星などが一軍キャンプで猛アピールを続けているが、こと守備だけを見れば、この男がレギュラー最右翼だと言えるだろう。

 キャンプも終盤ですが、疲れはそれなりにありますね。早出特守があったり、練習が終わってもティーバッティングや守備練習をやらせてもらっているので、疲れは徐々にきていますけど、やっぱりレベルアップしないといけない立場ですからね。

 中日の春季キャンプは初めてですが、去年に秋のキャンプをやらせてもらっているので、特に不安なく過ごせています。秋のキャンプは相当きつかった記憶がありますからね(苦笑)。それに比べると春は暖かくて体も動くし、実戦に向けた練習も多くなっているので、充実してこなせています。

 オリックスからトレードを告げられたのは昨年7月末のこと。球団事務所に呼び出されて、「トレードが決まったから、明日に荷物をまとめて明後日には行ってくれ」と言われました。

 まず、「なんで呼ばれたんだろう」と考えるじゃないですか。それと、その場に編成の方がいたので勘づきましたね。直前までまったくトレードの予感はありませんでしたし、全然知りませんでした。

 中日でのデビューは8月16日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)。4回から守備で途中出場し、いきなりその回の3つのアウトに絡みました。やっぱり、最初は緊張もありました。初めのアウトは荒木(雅博)さんのセカンドフライを横取り……ではないですけど、追いかけて捕りに行ったんです。

 事前に荒木さんから「積極的に捕りにこいよ」と言っていただいていました。やっぱり1球捕らないとホッとしない自分がいたので、無意識に捕りに行ってしまいましたね。アウトにしたことによって落ち着けたので、ほかの2つはしっかりさばけました。

昨年8月16日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)では4回から途中出場し、いきなり荒木の二飛を“横取り”。事前に荒木からのアドバイスもあり、これで落ち着くことができたという(写真=大泉謙也)



 その後はシーズン終了まで一軍に帯同させてもらい、自己最多の29試合出場(中日のみ)。9月21日の阪神戦(甲子園)では初本塁打もマークできましたが、振り返ってみると課題が多く見つかったシーズンになりました。試合に出させていただいたのはありがたいですけど、いろいろな面で一軍のレベルに達していないというか、自分の中ではまったく満足のいくものではありませんでした。本当に「出させてもらっていただけ」という気持ちが強かったですね・・・

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