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社会人No.1右腕看板を引っ提げ、2014年ドラフト1位でオリックスに入団した吉田一将。開幕一軍入りを果たすも、5月に二軍に降格。その後、7月に再び一軍の舞台に舞い戻ったが、1年目の成績は、プロ入り時に掲げた「2ケタ勝利、150イニング」の目標に遠く及ばなかった。しかし、2カ月の二軍生活は決してムダではなかった。ひと回り大きく成長した右腕が、勝負の2年目を迎えようとしている。
取材・構成=三橋祐子 写真=佐藤真一

意味のあった二軍生活


 2年連続、チーム防御率1位をマークしたオリックス投手陣。中でも先発ピッチャーは金子千尋西勇輝ディクソンの三本柱に今季からバリントンが加わり、今まで以上に層に厚みが増した。残る5、6番手の枠に食い込むため、春季キャンプで必死に腕を振る右腕がいた。

 去年は前半戦であまり投げられず、チームの中で機能できなかったことを反省しています。後半戦は、ある程度戦力になれたのかな、という思いもありますが、やはり1年間投げてこそだと思うので……。そういう意味では悔しいシーズンでしたね。

 原因は、春季キャンプでケガ(右肩の張り)をしてしまったこと。それでフォームを崩し、元に戻すのに結構時間がかかってしまったんです。5月に落とされて、2カ月ほどファームにいました。そのとき、指導してくださった小林(雅英)コーチ(現ロッテ一軍投手コーチ)には、まず真っすぐの質、ボールの威力を上げるように言われました。

「ファームのバッターに対して、前に飛ばさせない球を投げられるようにならないと、上では通用しないぞ」と。

 そこで、まずはフォームを一から見直しました。当然、試合にも出ていましたから投げながら修正していった感じです。早く一軍で投げたいという思いはありましたが、金子(千尋)さんにも、「(二軍の)雰囲気に慣れるなよ。しっかり自分のやることをやるように」と、アドバイスをいただいていたので、「今やれることをやろう」と、気持ちを強く持つことができました。

 まあ、ピッチャーの人数が少なくて済む交流戦が終わるまでは、上がれないだろうなとは思っていたので、変な焦りはありませんでした。ファームで1試合1試合投げて、結果を出して上げてもらえるのを待つしかなかったです。

 手応えをつかんだのは、雁ノ巣でのソフトバンク戦(6月11日)です。そのときは体が結構疲れていたんですが、逆にいい感じで力が抜けて、7回を1失点で抑えることができた。あの試合が一軍に上がる一つのキッカケになったと思います。

 小林コーチには、フォームについてはあまり言われませんでしたけど、スライダーの握りを教わりました。キャッチボールをして、実際に見せてくださったんです。それがすごく分かりやすくて、わりとすぐに投げられるようになりました。それまでの僕のスライダーは、曲がりが少し緩やかだったんです。カットボールまではいかないんですけど、空振りを取るというよりは芯をズラすぐらいの感じだったので。先のソフトバンク戦ではそのスライダーを結構いい感じで投げることができました。

 7月に上がれましたけど、うれしかったですね。「やってやろう」という気持ちでした。ファームでの2カ月間を振り返ってみると、当然、落ちずに済むならば落ちない方がいいとは思うんですけど、4月、5月の状態のまま投げていてもダメだったと思いますし、ファームで投げた期間は決してムダではなかったのかなと、今となっては思います。

昨年7月23日の日本ハム戦(京セラドーム)では8回を無失点に抑える好投で一軍復帰後初勝利。7回までパーフェクトの内容に試合後、森脇監督とガッチリ握手を交わした



身をもって学んだ1年


 2カ月の二軍生活を終え、再び一軍に戻った吉田一。プロ1年目は個人的には悔しいシーズンだったというが、周りのピッチャー陣から多くのことを学んだという。

 技術的なことも教えていただきましたが、参考になったのは先発ピッチャーの1週間の過ごし方です。特別聞いたりはしていませんけど、見ているだけでも学ぶことがたくさんありました・・・

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