週刊ベースボールONLINE

2015開幕スペシャル

大谷、ディクソン 開幕戦初登板投手たちの悲喜こもごも

 

栄えある開幕投手に選ばれた12人のうち、初の大役を担ったのは4投手。彼らの悲喜こもごもに焦点を当てる。

日本ハム・大谷翔平
逆転呼び込んだ2回連続三者凡退


VS楽天 5回2/3(92球)、3安打6奪三振3四死球1失点1自責点

写真=神山陽平



 オープン戦3試合と同様、立ち上がりは制球が定まらずに苦しんだ。初回は二番のウィーラーにストレートの四球。2回は2つの四球とバント野選で無死満塁にされ、三振で一死を取ったあと、ライトへの犠飛で先制点を奪われる。ノーヒットで失った、もったいない1点だった。ただ、無死満塁のピンチを1点でしのいだのが大きかったと見ることもできる。

 続く3回はペーニャに初安打を許すも、危なげなく抑え、立ち直りの兆しを見せる。4回、5回はともに3人を打たせて取り、リズムよく攻撃につないだ。すると5回裏、打線が大谷翔平の粘りに応えた。一死からハーミッダ、レアードの連打で一、二塁とし、大谷とのスタメンマスクを託された近藤健介が中前打でつないだ。三塁を大きくオーバーランしたハーミッダを見た嶋基宏の三塁送球が悪送球となり、ハーミッダ、レアードが生還。続く谷口雄也の犠飛で1点を追加した。

 2点リードをもらった大谷が6回にどのような投球を見せるかが、大きなポイントになると思われた。ここでリードを守ることができれば、ナインからの信頼は大きなものとなる。だが、二死一塁で松井稼頭央へ投じた1球目でアクシデントに見舞われる。投球の際にふくらはぎがつり、松井稼に左前打を許して二死一、二塁となったところでトレーナーとともにベンチ裏に引き揚げた。一度マウンドに戻るが1球投げて再びつったようで、無念の降板となった。

 昨季も最初の登板となった4月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で足のけいれんにより3回61球で降板。6月11日の巨人戦(札幌ドーム)でも6回1/3で足がつって降板した。その後は同じ理由で降板することはなかったが、プレッシャーのかかる開幕戦で再び起きてしまった。ただ、今回は初回から全力投球を続け、早めの継投が予想されたため、ベンチも準備が整っており、非常事態にも問題なく対応できた。

「みんなのおかげで勝たせてもらったゲーム」と本人が振り返ったように、打線が逆転し、中継ぎ陣がつないだおかげで勝つことができたのは確かだ。それでも、不安定な立ち上がりにも踏ん張り、味方の反撃につないだテンポの良い投球も大きな勝因に挙げられる。悪いなりに見せた修正力と粘りの投球。チームにとって大事な開幕戦勝利は、大谷にとっても大きな収穫のあるゲームとなった。

オリックス・ディクソン
好投むなしく…


VS西武 7回(114球)、5安打6奪三振2四死球1失点1自責点

写真=内田孝治



 昨年11月末に右ヒジを手術したエース・金子千尋の代役で開幕投手に大抜てき。「緊張よりもワクワク感の方が大きかった」と当日を迎えた。持ち味の打たせて取るピッチングで7回を5安打1失点と好投したが、打線の援護に恵まれず敗戦投手に。6回、二死一、三塁で五番・メヒアに打たれたのは、高めに浮いたナックルカーブ。「インコースに投げたかったけど、真ん中高めに甘く入ってしまった」と悔やんだ。しかし、三番・浅村栄斗、指名打者・森友哉からツーシームで三振を奪うなど、収穫もあった開幕戦だった。

西武・牧田和久
不動の心で見せた好投


VSオリックス 7回(117球)、5安打4奪三振1四死球0失点0自責点

写真=内田孝治



 不動心――。開幕5日前、左ワキ腹痛でエース・岸孝之が離脱し急きょ、回ってきた大役だったが動じなかった。キレのある直球を高め、変化球を低めに集めオリックス打線を封じ込める。0対0で迎えた6回一死二、三塁のピンチも「楽しくなってきたなと思えた」と動揺せず、ブランコを遊飛、T‐岡田を一ゴロで切り抜けた。2011年、新人ながらシーズン途中からクローザーに転向し、13年には侍ジャパンでも守護神に。修羅場をくぐり抜けた経験が不動心につながり、この日の好投となって表れたのは確かだ。

中日・山井大介
役割は全うも…


VS阪神 7回(103球)、3安打3奪三振1四死球1失点1自責点

写真=前島進



 36歳10カ月で初の大役は球団史上最高齢記録。昨季は最多勝と勝率第一位投手の2冠に輝くなど過去最高のシーズンを送ったが、さらなる活躍を期待させる快投だった。阪神打線を6回まで1安打に抑えるほぼ完ぺきな投球。18個のアウトのうち内野ゴロが半分の9個と、得意の打たせて取る投球が冴えた。7回に1点を失ったものの、3対1 とリードを保って降板。「いい緊張感の中で集中力を切らさずに最少失点に抑えられた」と期待に応えたが、後続が打たれ、チームはサヨナラ負け。初白星はお預けとなった。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング