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“プレミア12” 初制覇への戦い

菊池涼介 心掛ける「フラットな気持ち」

 

二塁手のシーズン補殺記録を2年続けて塗り替えた守備範囲の広さで、侍ジャパンでも不動のセカンドを任される。広島では緒方孝市新監督に同級生の丸佳浩とともにチームリーダーに指名された菊池涼介。戦前の予想に反し、負けが込むチーム事情に直面している。しかし、背番号33には、不動の心という強い武器がある。

枠にとらわれないアイデアに加え、二塁手としての経験を蓄積することでプレーは年々、洗練されている



 昨秋の日米野球最後の戦いとなった11月20日の親善試合の4回だった。一死走者なし。アルテューベの高く弾むゴロに果敢に前進した二塁・菊池涼介は難しいハーフバウンドでゴロをつかむと、グラブを反転させ一塁へ約5メートルのバックトス。「イチかバチか。とっさの判断だった」。昨季のア・リーグ盗塁王に出塁を許さなかったプレーはMLB公式サイトでも紹介され、称賛を浴びた。

 瞬時の判断でグラブトスを選択できるアイデアの柔軟性が称えられるべきものの一つ。加えて、打球処理のため本塁方向へ全力でダッシュした余勢の中で、体の後方にある一塁へグラブトスをコントロールするのは、見た目ほど簡単なことではない。同じ二塁を守るアルテューベが一塁を駆け抜けた後、菊池とタッチを交わしてベンチへ下がった。一流のメジャー・リーガーも認めたプレーだった。



 13年は528、14年は535と2年連続でセ・リーグの二塁手シーズン補殺記録を更新中。今シーズン前には「記録のワン、ツー、スリーを独占したい」と意気込んでいた。しかし、大半の評論家に上位予想されたチームは最下位に沈み、浮上のきっかけが見いだせない状況の中、主に二番を打つ菊池も打率.235、出塁率.257と貢献できていないのが現状だ。

「僕と丸で引っ張っていきたい」

 緒方孝市監督に同学年の丸佳浩とともにチームリーダーに指名され、その自覚も十分にある。しかし、過剰な意識は自身のプレーを阻害する要因になることも知っている。だから、どんな状況、状態でもフラットな気持ちでプレーすることを心掛けるのだ。常人離れした守備も「追って、捕って、投げる。ただそれだけ」。積極果敢な打撃は「打てる球を打つ」。だから、時に不用意な凡打も見られるが、それも含めて菊池の個性だ。

「初めて見たとき、草野球かと思った」と笑った中京学院大で4年間を過ごし、プロ入り4年目。武蔵工大二高時代は三塁、大学では遊撃を本職としたため、二塁守備に至っては本格的に始めてからわずか4年だ。だからこそ枠にとらわれないアイデアがわく。そしていま、経験からベストのプレーを判断する材料の蓄積を進めている最中だ。まだまだ、発展途上の背番号33。ただ、広島・緒方監督も侍ジャパン・小久保裕紀監督も「この世代が将来を引っ張っていく」と、大きな期待を寄せている。

昨秋の日米野球では巧みなグラブさばきでメジャー・リーガーをうならせた[写真/早浪章弘]



PROFILE
きくち・りょうすけ●1990年3月11日生まれ。東京都出身。171cm69kg。右投右打。武蔵工大二高から中京学院大を経て、12年、ドラフト2位で広島入団。1年目に東出輝裕の離脱に伴い、二塁のレギュラーに定着。広い守備範囲を誇り、13年は528補殺とセカンドのシーズン記録を樹立。14年はさらに535に記録を更新した。14年日米野球、15年欧州代表戦代表。

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