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特集・日本生命野球部の軌跡
日本生命野球部部長・岩間浩史が語る「3つの想い」

 

想いを一つにすれば個人の足し算ではなくチーム力で勝負できる



 野球部部長には2014年3月に就任しました。野球は子どものころに空き地でやったくらいで、技術的なことは分かりません。ですから野球のことは監督に任せ、口出しはしません。十河章浩監督とは同期入社でもあり、なにかとやりやすいと思います。

 野球部部長の仕事は、会社の「想い」を野球部に伝え、それを形にすることです。想いは3つあります。1つは「一体感の醸成」です。シーズン中こそ野球に専念しますが、選手たちはそれぞれ大阪本店の部署に所属し、社業に従事しています。野球部を引退した選手たちは総合職として、チームプレーを大切にし、野球で得た成功体験を社業に生かしています。そのため、野球部と従業員の絆はとても強い。京セラドームでは、部署ごとに選手個人を応援する光景が見られます。都市対抗の終盤、東京ドームでも3試合連続延長戦という苦しい戦いでしたが、たくさんの方に応援をいただきました。野球部からも皆さまに元気と勇気を与えられたと思っています。

 2つ目の想いは、「地域社会への貢献」です。当社は全国展開ですので、より多くの地域に貢献できるよう取り組んでいます。昨年は13カ所で野球教室を開催しました。毎年被災地でも開催しています。一流選手のプレーを見て、指導を受けて、お子さんたちがキラキラと目を輝かせていました。選手たちも原点に帰ることができ、自身の成長に繋がっています。

 3つ目の想いは、「スポーツ界・野球界への貢献」です。当社はこれまでも数多くの五輪選手を輩出して来ました。十河監督もバルセロナ五輪に出場しています。2020年の東京五輪はまだ何も分かりませんが、今後も人材の輩出によって野球界に貢献して参ります。

 もちろんその3つの想いを形にするには、野球部からの要望を会社に伝えることも大事な仕事です。野球部部長は会社と野球部の接着剤・緩衝材です。大会期間中はチームの責任者としてベンチにいることが重要な仕事です。私は大阪本店契約部で契約部長を務めていますが、本業の状況を見ながら地方遠征などにもできるだけ帯同するようにしています。

 ベンチで選手にかける声はファンとなんら変わりありません。昨年はリードされていても絶対負けないという空気がありました。きっかけは京都大会の西部ガス戦。序盤リードされ、ズルズル負けてしまうパターンでしたが、投打とも粘りに粘って8対7の「ルーズヴェルト・ゲーム」で逆転勝ちしたんです。このチームの原点は、14年の都市対抗野球初戦、2安打完封負けでした。あの悔しさを乗り越え、ついに「どんな試合でも勝てる」という空気ができた。監督以下みんなで作り上げた空気です。

 うちにはスタープレーヤーはおらず、個人の力では相手チームに劣っていたかも知れません。でも個人個人の足し算ではなく、チーム力で勝負ができる。チームが想いを一つにして、従業員やたくさんの皆様から応援をいただいて、夏秋連覇という快挙を成し遂げることができました。あらためて、ああ、野球っていいなあ……と思いました。
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