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若トラたちの未来像
阪神OB桧山進次郎氏が解説!高山俊ら4人の若トラたち

 

昨年10月の金本知憲監督の就任会見で「江越、横田、陽川ですか。そういうバットの振れる選手を見ていきたいです」と3人の名前を挙げ、名指しで育成をしていくことを宣言。その後入団するドラフト1位の高山俊とともに金本流英才教育が開始された。そして、開幕を直前に控え、この4人がどう教育され、どう成長したのか、阪神OBで野球解説者の桧山進次郎氏の解説と金本監督の愛のあるコメントから検証していこう。
写真=BBM

ひやま・しんじろう●1969年7月1日生まれ。京都府出身。東洋大から92年ドラフト4位で阪神入団。97年からはレギュラーとして四番も務め、03、05年とリーグ優勝にも貢献。06年からは主に代打として活躍し「代打の神様」と呼ばれた。13年限りで現役を引退し現在は日刊スポーツ評論家。


高山俊外野手


明大卒 1年目 23歳 181cm 86kg 右投左打

打撃フォームで修正するポイントがなく、金本監督はタイミングの取り方だけをアドバイスしている


どんな選手?
 金本監督が交渉権を引き当てたドラフト1位ルーキー。打撃フォームには穴がなく、オープン戦でスタメン出場を続け、ほぼ毎試合で安打を積み重ねた。開幕スタメン確実だ。

桧山チェック!触れ込みどおりの即戦力
 即戦力の触れ込みどおりのパフォーマンスをここまで見せています。東京六大学リーグで通算安打記録を塗り替えた(131安打)実績というものを、オープン戦などの実戦での巧みなバットコントロールで証明して見せましたね。(体の)軸がブレないです。打ち分けるだけでなく、ツボにくれば長打も発揮する。追い込まれると(単打などに)切り替えられる柔軟性があるのを見ても、レベルの高さがうかがえる選手ですね。

金本監督コメント
「フォーム的に完成形に近い。後はゲームでどう慣れていくか。予想以上。彼の好きなように、壁にぶつかるまで何も言う気はない。好きなように試せばいい。彼のスタイルで、今のままで」(2月25日日本ハム練習試合 1安打)

「ちょっと全盛期は過ぎているけど内海と山口という両左腕からね。そこはやっぱりさすがと言うしかない。あのクラスというか、あの2人からね」(3月6日 巨人戦 内海&山口両左腕から安打)

江越大賀外野手


駒大卒 2年目 23歳 182cm 80kg 右投右打

入団時からバットを強く振ることができる存在。さらに確実にボールをミートさせるためにテークバックを長く取る打撃フォームに修正させている


どんな選手?
 足の速さはチームNo.1。肩も強く、三振も恐れぬ豪快なスイングが特長の選手。中堅の1番手として期待されている。

桧山チェック!三拍子そろった外野手
 キャンプやオープン戦で結果を出すことができず、途中で二軍行きになりました。これはある意味、金本監督の期待の裏返しだろうと思います。昨年の1年目はフルスイングのできる人材として注目を集めました。粗さも彼の長所ですが、2年目のここからはより確実性が求められる選手にならないといけません。また、外野の守備力をさらに磨けば、三拍子そろった外野手として、センターラインを固める存在としてはうってつけの選手です。

金本監督コメント
「足を使って最後まで腰を回しなさいと。その場で(軸回転で)回すと腰が入る。これは一軍レギュラーの共通点だから」(2月3日、打撃練習で江越に熱血指導)

「将来ある選手ですから。統一してブレずにやっていきたい(江越への一、二軍の指導法が)というのがある」(3月5日 不振で二軍落ち。翌日二軍球場に金本監督が顔を出して)

横田慎太郎外野手


鹿児島実高卒 3年目 21歳 186cm 92kg

パワーはあるが、打撃フォーム矯正の必要がありキャンプで片岡打撃コーチと昼夜スイングを繰り返す日々を送った。金本監督は当初「時間が掛かるわ」と長い目で見ていく予定だったが……


どんな選手?
 身体能力に優れているが、打撃に課題があった。しかし、オープン戦が始まると結果を残し続け一時オープン戦最多安打と首位打者になるなど売出し中。開幕スタメンの可能性大。

桧山チェック!泥臭く、積極的な打撃が魅力
 彼の良さは、泥臭く、ガムシャラにプレーするところにあります。積極的なバッティングスタイルは魅力的で、長打も期待できる打者。オープン戦で左投手のスライダーをひと呼吸タメを作ってレフト前に弾き返した打席がありましたよね(3月16日ロッテ戦=QVCマリン)。あのバッティングが常にできると、サウスポーの肩口から入ってくる変化球をライトスタンドに放り込むことができるような打者に成長すると思います。

金本監督コメント
「横田は意外と実戦向きだなって。練習よりも試合の形のほうがいい。かなり意外だったですね」(2月16日の楽天との練習試合で本塁打)

「見ていてホント楽しいよね。マンガの主人公に出てきそうなタイプ」(2月21日ヤクルト戦2安打1打点)

「必死でやってやっぱり結果が出とるよね。必死さが集中力を生んで無我夢中。技術を越えた気持ちというかね。絶対打つんだ、気持ちで何とかする、本当に良い例。気をバカにするととんでもないことになる。それを示してる」(2月26日日本ハム練習試合 3安打2打点)

「きょうも打ったね。“横田君”から“横田さん”になった感じやね」(3月10日 DeNA戦 3安打2打点)

陽川尚将内野手


東農大卒 3年目 25歳 180cm 85kg 右投右打

パンチ力のある打撃を生かすため、キャンプ中、打撃フォームのトップの作り方からバットの軌道までを徹底指導。オープン戦で結果を残せなかったが二軍で四番に起用し育成中


どんな選手?
 入団当時から将来の右の大砲候補として期待されている。毎年のようにケガを繰り返してきたが、今年は一軍キャンプを完走した。現在は二軍で四番を打っている。

桧山チェック!将来性を感じる右の大砲候補
 体も大きいし、パンチ力もあって将来性を感じました。金本監督の「振る」というテーマを実践してきた1人ですよね。甲子園球場では右から左に吹く浜風がつきものです。この風を生かしたプルヒッターで右の大砲候補としてホームランバッターに育ってほしいと感じさせる魅力のある打者です。課題である三塁守備も一軍レベルまで上達してくればしめたものだと思います。

金本監督コメント
「秋に言ったことを忘れとったからな。『お前、誰や?去年の秋と別人物やろ』って」(2月2日 春季キャンプで、秋季キャンプに教わった打撃フォームを忘れていて)

「5、6球ファウルを打ったのかな。その後のホームランというのはやはり価値がありますよね。欲を言えば、その前のストレートをバシッと一発で仕留めてほしい」(2月16日 楽天戦本塁打)
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