週刊ベースボールONLINE

清原和博、栄光と転落

清原和博 どん底からの復活(7)

 

本格的な肉体改造に着手。だが、すぐさま故障し、当時のオーナーから「彼がケガをして優勝の要因が増えた」とまで言われた。そしてどん底から鮮やかな復活。東京ドームの“とんぼ”はすさまじい大合唱となった。

2000年7月7日、復帰戦で代打ホームラン


いないほうが優勝できる


 1999年のV逸で清原への逆風が勢いを増す。ナベツネこと渡辺恒雄巨人オーナーが「清原は困ったものだな」と発言。一般週刊誌でも、ネオン街でのゴシップ話に加え、「なぜ巨人は清原を外さないのか」という論調の記事が増えた。今風の表現なら完全に“不良債権扱い”だ。

 その中で、長嶋茂雄監督は「バッシングなんかに負けてはダメだ。誰も助けてなんかくれないのだから自分で切り開いていかなくては」と激励の言葉を送ったが、一方で西武を退団した大砲マルティネスを獲得。勝負強いバッティングが魅力の選手ながら、DHのないセ・リーグでは、清原と同じ一塁を守るしかない。

 契約更改では年俸3億3000万から5000万円ダウンの2億8000万円でサイン。2000年1月5日には米シアトルに旅立ち、自主トレをスタート。前号で触れたように、日米野球でサミー・ソーサ(当時カブス)と交流し、「オレも、あんな体をつくる」と思ったからだ。ただ、清原はこれまでも何度となく「肉体改造」に挑んでおり、そのたび中途半端に終わっている。周囲の目は懐疑的だった。しかし、今回は覚悟が違った。取材公開日にトレーニング地を訪れた記者たちは一様に驚きの表情を浮かべた。午前中にインターバル・トレーニングなどで約2時間汗を流し、午後は場所を移し、ウエート・トレ。メニューをつくっているのは、格闘家のトレーニング指導で実績あるケビン山崎氏だが、そのトレーニング内容がすごい。徹底的に高重量で追い込み、渡米からさほど時間が経っていないにもかかわらず、筋肉の鎧で巨大化。「何かを得ようと思ったら、何かを犠牲にしなければならないということを忘れていた」と清原。トレーニングだけでなく、酒、タバコを断ち、鶏のササミと野菜中心の食生活を続けていた。1月25日、帰国した際の空港でも報道陣に対し、「結果がすべて。いまガタガタ言っても仕方がない。シーズン後、みんなの前で話します」ときっぱり言い切っている。

 迎えた宮崎キャンプ。第1クールはベテラン組に入り、ゆったり目の別メニューが組まれたが、夜はケビン氏と市内のジムで個別トレーニング。巨大化がさらに進む。「格闘家じゃないんだから、あんなに筋肉をつけてどうするんだ」と揶揄する声も多かったが、キャンプは順調に消化。紅白戦ではホームランを連発した。最終日、「筋力がアップしたことでムダな動きが取れ、いい方向に向かっています。体はこの時期にしては硬い体になりました。何でも弾き飛ばせそうな気がしています。今シーズンはできそうではない、やる、と思っています」と胸を張った。

 しかし、またやってしまった……。

 気温3度、雨が雪と変わる最悪のコンディションとなった3月8日の阪神戦(岐阜)で左腿を痛め、全治3週間以上。開幕は絶望となった。開幕二軍スタートは清原のプロ野球人生で初の屈辱だ。それでも清原は腐らなかった。バットのヘッド部分に「南無大師遍照金剛」(私は大師さまにお仕えしますの意)と書き込み、体が許す範囲でトレーニングを続け、早期復帰に執念を燃やす・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

プレミアムサービスに登録すると、週刊ベースボールONLINEのすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

関連情報

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング

コラムを探す

週刊ベースボール

バックナンバー