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検証!投手はプレートのどこを踏むの?

 

かつて投手がプレートを踏む位置は右投手が三塁側、左投手が一塁側が常識となっていた。しかし、近年はメジャーの影響もあって一気に多様化。今回は、12球団の“プレート事情“をチェックしてみよう。
※プレートは横60.9センチ、タテ15.2センチ

かつての“固定観念“が消え、多様化の時代へ


 かつて投手は打者に対し、球の軌道に左右の角度をつけることを最優先し、右投手は三塁側、左投手は一塁側を踏むのが一般的だった。左投手の場合に使われる表現ではあるが、打者に向かっていくクロスファイアの重視と、右対右、左対左では打者の背中側からボールが出てくることになり、より打ちにくいという発想から来ている。しかし、メジャーでは変化球が“ストレートと思わせ、振らせなければ意味がない”という考えがあり、ボールゾーンからリリースするのではなく、むしろ右投手が一塁、左投手が三塁というのが主流。特にツーシーム全盛の時代となって“真ん中に投げて散らばす”という意識が強くなり、日本にも広がっている。

 ヤクルト伊藤智仁投手コーチは「どちらがいいというより、その人の持っている球種を生かすための位置にすればいい。僕は(昨年までヤクルトに所属していた右腕)バーネットに一塁側を踏んでみたら、とアドバイスした。彼は、もともと三塁側を踏んでいたけど、シュートが良かったのと、カットボールを(右打者の)アウトコースに最短距離に投げさせるためです。中日のバルデスは左右打者で踏み位置を変えているように見えますが、それもありだと思います」と語り、ロッテ小林雅英コーチは「プレートを踏む位置が変わると景色が全然違い、体の使い方とかラインの出し方が変わるのは確かですが、何が正しいというのはないと思います。個々に育ってきた環境が大きいんじゃないですかね」と分析していた。5月21日には、昨季まで三塁側を踏んでいたのを今季から真ん中にしていた、ヤンキースの田中将大が、さらに、この日は一塁側を踏んで2勝目を挙げている。今回は現役選手たちの言葉をまじえつつ、その傾向を探っていこう。

和田毅(ソフトバンク/左投げ・三塁側)



「アメリカにいるときに、三塁側に変えました。ボールを動かすスタイルに合わせたのもありますが、肩やヒジの不安も考慮した上で。以前は一塁側から、すべてクロスファイア(左投手なら右打者のインコースを突く)のイメージで投げていたんですが、そうすると体やヒジにも負担がかかるんです。三塁側だと腕の位置が真ん中になるので、中央から両サイドに球が出て行くというイメージで投げられます。特に(アメリカで習得した)ツーシームは、ベースの真ん中から動かしたほうがよりいい動きが出ますしね」

唐川侑己(ロッテ/右投げ・三塁側)



「僕はプレートの三塁側を踏んでいます。昔からずっと真ん中で投げていたんですけど、プロ3年目の2010年から西本聖さんがコーチになって、三塁側を踏んだほうがいいとアドバイスをもらいました。やっぱり景色が全然違うので、最初は投げにくかったですけど、三塁側からだと右打者のアウトコース、左打者のインコースに角度がつきます。でも、角度がつく分、自分も体をより使わなければならないですし、すぐに投げやすいなとは思わなかったです。試合の中でとか、試合ごとにプレートの踏む位置を変えることはないですね。そんなに器用じゃないんで。例えばシュートを投げるピッチャーだったら、逆に一塁側に立つのかもしれません。いろんなピッチャーがいるので、チャレンジしてみるのはいいと思います」

松永昂大(ロッテ/左投げ・一塁側)

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