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日ハムOB・建山義紀氏が解説 投手・大谷翔平の好調要因

 

6月12日の阪神戦、日本ハム大谷翔平は7回3安打無失点と好投したのみならず、日本最速の163キロを連発。開幕当初の不調も完全に脱し、これで自身4連勝で5勝目。「投手・大谷」の好調の要因はどこにあるのか、日本ハムOBの建山義紀氏に解説してもらった。


軸足の修正で投球に安定感


 6月12日の登板は今シーズンのベストピッチングと言っていい、最高の出来でした。初回から160キロ台を連発した球速が示すように、立ち上がりから力を入れていました。勝負どころと、そうでない場面でギアチェンジを念頭に置いて7〜8割で投げるなど、成長途上にある大谷には出力に強弱を付けるのはまだ難しい面がありましたが、この日のように常に全力投球に近いほうが、試合全体で動作のメカニズムなどもうまくいくんだと思います。その典型のような立ち上がりが初回の3者連続三振です。この試合の驚異的なパフォーマンスの源泉になったといえるシーンでした。


 許した3安打はいずれも打者有利のカウント。同じ低めの直球でした。いずれもバットから距離が取れる高さ、コースだけ。完璧に封じたゴメスへの配球に象徴されるように、高めの直球をとらえられることはなかった。スライダーを勝負球とカウント球にも使い、フォークも配分。1つひとつのボールの質も高く、状態はマックスに近いように見えました。


 苦しんだ開幕当初から微調整しながら試行錯誤した結果、リリースが安定してストライク率が向上していました。ポイントは右の軸足。体重移動の改善が好調の要因でしょう。開幕直後は軸足に体重をしっかりと乗せないまま投球動作に入り、そこから爆発的な力を生み出そうとしていました。それでは力が伝わらず、せっかくのポテンシャルを生かせていなかった。それがここ数試合の登板では、軸足に十分に体重を乗せてからリリースまでの一連の動作がすごく自然になりました。もはや欠点が見当たらないですし、引っ掛けるようなボールも減少しましたね。

 速球は強度も精度も上がり、狙いどおりに変化球も操れる。投手・大谷が圧倒的な領域へ突入してきたと確信できる一戦でした。
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