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DeNA・三浦大輔 ファンの熱気に包まれた“番長”の引退登板

 

今季限りでの引退を発表した球界最年長42歳・三浦大輔が最後の現役登板に臨んだ。ハマスタに詰めかけた超満員のファンの声援に“ハマの番長”は熱投で応えた。

引退セレモニーでは球場を1周してファンにお別れのあいさつ


 6回1/3を投げて10失点──。9月29日のヤクルト戦[横浜]で先発マウンドに立った三浦大輔の現役ラスト登板は、壮絶な展開となった。しかし、打たれても、打たれても向かっていく泥臭さはファンの心に響いた。球場最寄りの関内駅(JR)、日本大通り駅(みなとみらい線)をはじめ街には背番号「18」のフラッグがあふれ“ハマの番長”一色。今季54度目の大入り満員となった横浜スタジアムは、最後の雄姿を見届けようとするファンの熱気に包まれた。

勝てば24年連続勝利のプロ野球記録だったが、更新ならず


 通算172勝を支えた針の穴を通すコントロールは健在。しかし、昨年あたりから落ちはじめた球威、ボールのキレのわずかな衰えをヤクルト打線は見逃してくれない。2回表には19歳の廣岡大志に3ランを浴びた。それでも全員が三浦の背番号「18」のユニフォームを着る味方打線が勝ち星をつけようと奮起。この日は三浦の勝利のためにチームが一丸となった。1対4とリードされた2回裏にはエリアンのソロ本塁打を皮切りに、梶谷隆幸の適時二塁打、さらにロペスの一発で逆転、強力な援護弾をたたき込んだ。

 一旦は立ち直りかけていた三浦は2点リードで迎えた4回に再び燕打線につかまり、西田明央川端慎吾の適時二塁打で6対7と逆転を許してしまう。さらに6回表にも連打で3点を奪われ、下を向きながらベンチへ向かった。「25年間お疲れ様……」。そんな空気が球場全体を包み、三浦自身もそう思った。ところが、ベンチのラミレス監督は指を1本立てた。「あと打者1人投げられるかと聞いた。ミウラさんに勝ちをつけたかったのもあったし、最後はマウンド上でファンにお別れを告げてほしかったんだ」。42歳のベテラン右腕に花道を用意したのは、指揮官の心意気だった。

マウンドを降りる三浦をナインが涙で見送った


 7回のマウンドへ上がり、捕手の高城俊人を見ると号泣しているのがマスクの上からでも分かった。「全部真っすぐでいきましょう」という高城に「よっしゃ」と応え、雄平を全球ストレートで3球三振に斬って取った。投手交代を告げられるとスタンドから拍手と歓声がいつまでも鳴りやまず、マウンドに集まったナインに見送られる三浦の目にも涙があふれた。「監督はじめ、皆さんに配慮していただき、7回のマウンドに立たせてもらって本当に感謝しています。そしてファンの声援があったからこそ、苦しいときも頑張ることができました」と試合後、晴れやかな表情で語った。引退セレモニーでは“ハマの番長”らしく「これからも三浦大輔はずっとヨコハマです。ヨ・ロ・シ・ク!!」と25年の現役生活を“完全燃焼”で締めた。

セレモニーではあこがれの矢沢永吉から「ご苦労様でした」とサプライズメッセージが届けられた

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