11月11日の交渉解禁からわずか1週間で楽天へのFA移籍が決定。だがそれまで、岸孝之の胸中にはずっと葛藤があったという。「迷ったら前へ」。楽天・星野仙一副会長の言葉に導かれるように決断。2017年シーズンは、クリムゾンレッドのユニフォームに袖を通し、故郷・仙台で新たな一歩を刻む。 取材・構成=富田庸、写真=大賀章好、BBM 自分の地元に球団がある意味
移籍決定後の11月23日、自ら球団に直訴して西武のファン感謝デーに参加した。批判されるのは覚悟の上だったが、待っていたのはファンの温かな声援だった。岸の楽天移籍の真相については前号で報じているが、本人はこれについて、一瞬詰まった末に、その言葉を飲み込んでいる。西武を離れる決断について、さまざまな憶測を呼んだが、すでに決着のついたこと。きっちりとけじめをつけ、晴れて楽天イーグルスの一員となった岸が、現在の思いを語り始めた。 ──プロ入りから10シーズン、西武ライオンズでプレーしてきましたが、このオフ、大きな決断を下しました。
岸 ここ2年、ケガをしていますが、野球選手として致命的なケガではないと、僕は思っています。ただ、年齢を重ねていく中でケガをすると、「(野球人生が)いつ終わるか分からない」という不安も出てくるわけです。そう考えたとき、仙台で生まれ育ち、いろいろな方に支えてもらいながらプロ入りすることができ、今の自分がある。そういった方々に恩返し、つまり成長した姿を見せたいと思ったのが、決断した理由の一つです。
──初交渉のちょうど1週間後に楽天への入団会見がありました。このオフには岸選手のほか、
オリックス・
糸井嘉男選手、
日本ハム・
陽岱鋼選手、
DeNA・
山口俊選手、
ソフトバンク・
森福允彦選手がFA市場をにぎわせましたが、その中で最も早い決定となりました。
岸 決まったのは早かったんですけど、迷わなかったというわけではないんです・・・
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