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特別寄稿

“偉大なる裏方” 鈴木美嶺、郷司裕の両氏が晴れて野球殿堂入り!

 

今年特別表彰で野球殿堂入りした「ルールの鬼」鈴木美嶺氏(元日本野球規則委員)と「貫録のジャッジ」郷司裕氏(元東京六大学野球審判員)の2人は、この人がいなくては、日本の野球は前進しなかったと言われるほどの存在。ルールがあっての野球、ジャッジがあっての試合。地味な役回りながら偉大な足跡を残した2人の野球人を紹介する。なお、2人は小社の出版物にも深くかかわってきた人であることを付け加えておく。
文=大内隆雄

「公認野球規則」を抜群の英語力で編集



 鈴木氏、なんて書くと、天国から「他人行儀はやめたまえ」とお叱りを受けそうだから、鈴木さんでいく。筆者は、1981年からほぼ10年、鈴木さんと机を並べて仕事をさせてもらった。この間に、鈴木さんから授けられた東京六大学野球に関する知識はボウ大なもので、この点に関しては、鈴木さんの一番弟子だと自負している。この方面で鈴木さんと並び立つ存在は、山崎武さん(故人、週刊ベースボールで20年以上連載ページを持っていた)のみ。筆者は山崎さんの一番弟子であることも自任しているから、実に幸せだったと思う。

 鈴木さんは「公認野球規則」を現在のような形にまとめた(1956年)最大の功労者であり、これが今回殿堂入りした一番の理由でもあるのだが、それ以前に東京六大学野球や都市対抗野球に日本で最も詳しい存在であることで斯界の尊敬を受けていた。それは、鈴木さんの球歴、経歴を見れば分かる。旧制第八高等学校(戦後名古屋大に併合)から東京帝大(東大)の西洋史学科へ進んだのだが、もう戦争の始まっていた42年4月。東京六大学野球はこの年の秋のシーズンで中止となったから、鈴木さんは戦前の“帝大最後の二塁手”となった。43年10月にいわゆる学徒出陣、復員したら帝大卒業となっていたから、神宮で再びプレーすることは不可能だった。

 この不完全燃焼感が、鈴木さんの“起動力”になり・・・

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