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2017春季キャンプ取材現場から

ロッテ・佐々木千隼の悩みを吹き飛ばしたマウンドの“景色”

 


 ロッテの石垣島キャンプ、第3クール最終日の2月14日。ルーキーの佐々木千隼が初めて打撃投手を務め、力強い投球で平沢大河中村奨吾三木亮の3人を手玉にとった。佐々木にとっては確かな光明が差しこんだ60球だっただろう。

 ここまでブルペンではフォームにブレが生じ、コントロールがままならない悩みを口にしていた。前日の室内練習場でのトレーニング中にはエース・涌井秀章へアドバイスを求める場面もあった。佐々木は「いろいろです」と内容については明かさなかったが、涌井は「いろいろ悩んでるな、ということ」と後輩の状態を案じていた。

 それが一転、伊東勤監督も「ストライクが多かったわけではないが、強さがあった。最初にしてはまあまあかな」と評する投球を披露。佐々木本人と英二投手コーチが口をそろえたのは“景色”だ。「景色が変わったことは大きいと思う」と英二コーチが言えば、佐々木も「ブルペンとは違う景色で気持ちよかった」。

 英二コーチは「ブルペンというのはほかのピッチャーのことが気になるし、見られることを意識する場所。それは誰もが通る道」だという。青空の下、メイン球場のマウンドに立ったことで、佐々木はブルペンで知らず知らずのうちに感じていたプレッシャーからわずかながらも解放されたのだろう。

「(佐々木の)持っているものが出始めただけ」と英二コーチは言葉を続けた。ようやく真価の一端を見せることができた黄金ルーキー。佐々木が本当の意味でプロとしてのスタートを切れた日だったのかもしれない。

取材・文=杉浦多夢 写真=上野弘明
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