週刊ベースボールONLINE

プロフェッショナルの視点

プロフェッショナルたちが侍ジャパンを斬る 立浪和義、薮田安彦、里崎智也

 

立浪和義の視点「東京ドームと違う戦い方も必要だったのでは」



■選手はよくやった

 準決勝で敗れたこともあり、いろいろな意見があるようですが、あの重圧の中で、よくやったと思います。失点は失策が絡みましたが、慣れない球場で雨の影響もあります。その点について選手を責められないでしょう。第1回、2回大会で優勝したこともあり、周囲の期待が大き過ぎた気もします。一発勝負は簡単ではありません。

 過去の大会と比べて、アメリカ、ドミニカ共和国を中心にメジャーのそうそうたる選手がそろっていたのも事実です。結果的にですが、日本が1対2で敗れたアメリカが、決勝でプエルトリコに8対0と勝っています。日本野球への評価はアメリカでも高まっているようです。

 アメリカのドジャー・スタジアムに舞台を移しての戦いは、ある意味、予想どおりでした。

 菊池涼介の一発はありましたが、ホームランが量産される東京ドームとは違い、ホームランによる得点の可能性はほとんどないと思っていました。

アメリカの投手たちの動く球に日本の打者は詰まりまくった/写真は坂本勇人


 メジャーの一線級投手の動くボールにも苦戦するだろうと思っていましたが、そのとおりでしたね。アメリカの投手の変化はえげつなく、日本の打者のほとんどが詰まらされていました。ああいう球は、投手のレベルだけの違いではなく、ボール自体や湿度の違いもあって、日本球界では、ほとんど経験ができず、また、打者というのは、実際に打席に立たなければ、いくらビデオで見ても感覚が分かりません。次回大会以降も大きな課題になるはずです。

欲しかった逆方向の意識


 ただ、一つ言えるのは、こういう状況なりの戦いもあったということです。

 本調子ではなかったにしても、内川聖一が見本のようなライト打ちを見せましたが、長打を期待するのではなく、逆方向に打てる、率を稼げるタイプを中心に並べ、選手の意識も徹底させる必要があったように思います。加えて、もう少し泥臭く、足を使って相手を崩す野球をしてもよかったのではないかと思いました。ほとんどクイックができない投手ばかりでしたし、違った展開もあったはずです。

 2次ラウンドまでは打ち合いを制したゲームもありましたし、奇跡的な得点シーンが何度もありましたので、多少、その残像が日本の中にあったのかもしれないですね。思い切った発想の切り替えがあってもよかったと思います。

 投手陣では先発の菅野智之が・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング