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侍ジャパン&大会総括

なぜ日本は世界一奪還 に届かなかったのか?

 

2013年の第3回WBCで失った世界一の称号を取り戻すべく挑んだ第4回大会だったが、日本は再び準決勝で敗れた。果たして敗因はどこにあったのか。侍ジャパンの常設化の意義、20年東京五輪、そして21年の第5回大会での世界一奪還に向けての課題、問題点とは。侍ジャパンと大会を総括する。
取材・文=坂本匠[本誌特派]、写真=小山真司

大会を通じて四番を張った筒香嘉智は2次ラウンドまで3本塁打8打点とチームをけん引したが、準決勝のアメリカ戦では3打数無安打1四球。手元で動くボールに翻ろうされた


テーマI なぜ、日本は再び4強で敗退したのか?


■純粋な力負けも“フォーク”に光明

 戦前の下馬評は決して高いものではなかった。青木宣親を除くメジャー・リーガーにはことごとく出場を断られ、小久保裕紀監督が投打(投手専念だった可能性もある)の「大きな柱の1人」と期待を寄せ、世界中からも注目が集まっていた日本ハム大谷翔平の出場回避も、これに追い打ちをかけた。2月23日に代表合宿をスタートさせれば、ソフトバンクとのオープニングマッチ、CPBL選抜との壮行試合第1戦にまさかの連敗。WBC開幕を直前に控えたチームが、テストマッチに連敗するなど、過去3度の大会ではあり得なかったことだ。1次ラウンド突破さえ危ぶまれたのも当然だろう。実際、初戦で対戦したキューバに敗れるようなことがあれば、その可能性も十分にあったわけだが、日本は戦前の低評価を覆し、準決勝に進出。その後、初優勝を飾るアメリカと、1対2のクロスゲームを演じている。

 この代表チームは、「世界一奪還」をターゲットとし、2013年から活動を開始したが、1、2次ラウンド6戦全勝は想定以上の成果と言える。全6試合のテレビ視聴率は軒並み好調で、東京ドームでの1次ラウンド20万6534人、2次ラウンド20万9072人は、個別ラウンドの最多記録を更新(主催者発表)するほど世間の耳目も集めた。

 ただし、優勝を狙えるチームだったかと問われれば、「NO」と言わざるを得ない。ベスト4の成績が妥当。準決勝リポートでも触れたが、メジャーの一流選手をそろえたアメリカとの差は、歴然だったからだ。特に日本の打者とアメリカの投手との間には予想をはるかに超えた力量差があった。1、2次ラウンド6試合で10本塁打46得点と、こちらも予想に反した打力で準決勝へと勝ち上がったが、「1次、2次ラウンドの投手も(ボールを)動かしていたのですが、(アメリカは)スピードがワンランク上。出てくる投手はツーシーム系のボールを投げるので、コンパクトにという指示をしましたが、それすらさせてもらえなかった」(小久保監督)と7人の継投の前に散発4安打に沈んだ。動くボールへの対応は、常々言われてきたことだが・・・

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