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現役引退、惜別球人2018

広島・新井貴浩 みんなあなたが大好きだった!「カープは“家族”。これからもチームメートと一丸で、誇りを持ってプレーしてもらいたい」

 

「カープって、よそとは違うチームなんですよ」よく、そう言っていた。1999年入団。その道は、平坦ではなかった。ただ、最後の顔は想像できる。笑顔。それもボロボロに大泣きしながら。

2003年のキャンプではご覧の丸刈り


 野球を愛し、広島を愛し、カープを愛した。いつ誰の前でも裏表なく、真っすぐ。体も心もでっかい好漢だった。

 広島県広島市出身。子どものころから大のカープファンで、パジャマはカープのユニフォームをあしらったものだった。

98年12月25日、新人入団会見。後列右から3人目


 広島工高から駒大に進み、4年秋には打点王を獲得。ただホームランは通算2本と中距離打者タイプだった。ドラフト6位で1999年の広島入団後は、大学の先輩でもある大下剛史ヘッドコーチから朝から晩まで徹底的にしごかれた。

「甘やかすということはなかった。やってやって、やらされてやらされて、ケガでもしたらそこまでのヤツだったみたいな」と新井は振り返る。

99年のルーキー時代[左]。ホームランの後、先輩に頭をたたかれる


 金本知憲阪神に移籍した2003年には、金本の代わりに四番にも座ったが、生真面目な性格もあって、重圧から打撃不振に陥ってしまう。

04年のキャンプでシーズンの抱負「広島ファンに“感動”を与えます!!」を色紙に


 それでも、この男は楽な道は選ばない。「これでダメなら自分はもうダメだ」と、逆にさらに追い込んで挑んだ05年。開幕スタメンから外れるも、初スタメンの3戦目で2本塁打。これをきっかけにホームランを量産し、43本塁打でホームラン王に輝く。翌06年は、ブラウン監督に「ケースバッティングを心がけるように」と言われ、センター方向を意識。本塁打は25本と減ったが、勝負強さは増し、打点は100、07年も102打点をマークしている。

菊地原毅[右]と海釣りを楽しむ


 07年オフには北京オリンピック・アジア予選に全試合四番で出場。3試合で打率5割、1本塁打、5打点で予選突破に貢献した。帰国後、FA宣言。広島ではそれが移籍とイコールになる。会見で、「悩み抜いての結論。残留したらいつか後悔するかもしれない。カープが好きだからFAなんてなかったらいいのに」と言って号泣した。

07年オフ、FA権行使を決めた会見で大泣き


 その後、金本がいた阪神に移籍。同年は五輪出場、さらに腰痛での離脱もあったが、翌09年からは3年連続フル出場。広い甲子園でコンパクトなスイングをさらに徹底。ホームランは減ったが、弟・良太(新井良太)が中日から移籍してきた10年には112打点、打率.311をマークした。

 11年には、プロ野球選手会の会長として東日本大震災の後のセ・リーグ開幕戦延期を主張し、奔走。その一方で、同年は93打点で打点王ともなっている。

 しかし、その後、14年オフに自ら申し出て阪神を自由契約。そこで、古巣から声をかけてもらった。悩んだ末に復帰。罵声も覚悟した初打席開幕戦の代打は大歓声。「あれは一生忘れられない。今度は自分がファンを喜ばせたい。絶対に喜ばせる」と誓った。そして16、17年と連覇。16年はMVPにも輝き、その誓いを果たした。

14年11月14日、広島復帰会見


 新井には、本誌の創刊60年記念としてカープの歴史を特集した際、現役代表としてインタビューを受けてもらった。6月、引退は決めていなかったはずだが、その言葉には“ラストメッセージ”のにおいが色濃く漂う。

「今、カープは若くていい選手が多い。みんなオレたちはカープの選手なんだということをおごるのじゃなしに、誇りに思って、プレーしてもらいたい。それ以外何もないです。今までどおり、一生懸命プレーしてもらいたいです。

 あとは、ファンの人を大事にするというのは当然ですけれども、チームメートも大事にしてほしいですよね。カープって、よそとはちょっと違うチームですので。選手、裏方さん、球団の方も含めて。ファミリー的な感覚。だから、家族であるチームメートを大事にして、一丸となってやっていきたいですし、今の若い選手も、年齢を重ねても『俺たちは家族なんだ』という気持ちを持って『みんなで一丸となって勝つんだ』という気持ちを常に持ってもらいたいですね。この先、年齢重ねていっても、『自分さえよければいい』という考えだけは、絶対持ってほしくないですね。カープはもう、そういうチームですから。家族ですから」

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