顔が真っ赤のまま……

　そうだ、試合前にビールを飲んだ話はしましたっけ？

　1982年、優勝が決まったシーズン最終戦(10月18日)の大洋戦(横浜)の前です。あのとき近藤(近藤貞雄)監督が「きょうは緊張するなと言っても無理だろう。リラックスできるならビールを飲んでもいいぞ」と言ったんですよ。実際、缶ビールも準備してね。勝ったら優勝、負けたら2位の大一番なのに、近藤さんらしいよね(笑)。

　僕は、言われたとお〜り、素直に飲んだんですが、あとでいろいろ聞くと、みんな飲まなかったり、少し口をつけて飲んだ真似をしただけだったらしい。そりゃそうですよね、大事な試合の前なんだから(笑)。

　こんなことを言うと、「お前、アル中か！」と言われそうだけど、実はナゴヤ球場の試合前にビールを飲んでいたことがあります。夏の暑い時期の練習の後、のどが渇くんでね。さすがに瓶や缶で飲むわけにはいかないんで、球場の喫茶店でヤカンにビールを入れてもらって、食堂の湯のみ茶碗でこっそり飲んでました(笑)。

　でも、実は僕、酒は弱くて大して飲めない。すぐ顔も真っ赤になる。1打席目くらいまでは真っ赤でしたね。試合前、相手のコーチに「お前、すごい日焼けをしてるな。昼間、ゴルフにでも行ったのか」と言われたことがあります(笑)。大島(大島康徳)さんと一緒にキャッチボールをやっていたんですが、あの人が「飲んでる、飲んでる、ビール」ってバラしてました(笑)。相手のコーチは信じてなかったんじゃないですかね。そんな不真面目そうには見えないでしょ(笑)。ふらふらでバットが振れず、交代させられたこともあった。コーチは何も言わんかったけど、バレてたかもしれないですね。あきれた顔をしてたから。

　なんで？　う〜ん、なんでかな。暑いし、喉が渇いたし、ビールでも飲もうかくらい。緊張を取ろうとしたわけでもないし、別に、どうしようもなく酒が好きというわけでもありません。あとは、ちょっとだけ悪さをしたかったのはあった。少し遅い反抗期みたいなものかな(笑)。

　西武時代も1回ありましたよ。ただ、あのときは自分からじゃない。練習終わって戻ったらモリシゲ(森繁和)さんに・・・