リーグ戦は最下位からの逆転V。序盤からケガ人も出て出遅れながらも圧巻の安定感でリーグ3連覇。その勢いのまま乗り込んだ日本シリーズでは、野球の質の違いを見せつけ、巨人を、たたき潰した。 1987年の球界を漢字一文字で表現するなら「涙」かもしれない。巨人・
江川卓が
広島・
小早川毅彦にサヨナラ弾を浴び、引退を決意した際の涙。そしてもう一つが、11月1日、
西武ライオンズ球場での涙。ともに号泣だった……。
あの胴上げの元祖にも
そのとき、客席が少しざわめいた。
「それじゃ守れんだろうが!」
西武のセカンド・
辻発彦が、その男に近寄り、声を掛ける。言葉はきついが、目が優しい。
3勝2敗で迎えた対巨人の日本シリーズ第6戦。9回表、巨人最後の攻撃を前に西武は3対1とリード。2年連続日本一へのカウントダウンが確実に進んでいた。しかし、二死から
篠塚利夫の打席で“異変”が起こる。一塁を守るプロ2年目、西武・
清原和博が号泣していたのだ。
「自然に込み上げてきたんです。守備に就いたとき足がガタガタ震え、涙が出てきました」(清原)・・・
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