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豊田泰光のオレが許さん!

選手に責任はない!

 

丸谷才一さんの死に思うのは、もう第一級の知識人のプロ野球ファンはいない…


 作家で文化勲章受章者の丸谷才一さんが亡くなられました。87歳でした。この欄の古くからの読者ならご存じでしょうが、丸谷さんにはこの欄にしょっちゅう登場してもらいました。どういうワケか、この方は昔からオレのしゃべること、書くことを気に入ってくれて、対談や座談会によく引っ張り出してくれました。

 この欄がスタートした直後の94年だったと思いますが、丸谷さんの友人の作家の井上ひさしさん、文芸評論家の向井敏さんらと一緒に東京ドームで野球を見たこともありました。とにかく野球が好きなんです。実際、井上ひさしさんに負けないぐらいでしたよ。そういうワケで、こちらもネタに詰まったりすると、すぐ丸谷さんや井上さんを勝手に登場させてもらいました。

 94年というと、Jリーグがスタートして2年目ですが、丸谷さんは「どうしてプロ野球とJリーグの日程が重ならないようにしないのかね。春から秋がプロ野球で、秋からJリーグがスタートすれば両方楽しめるじゃない」と言ったことがありました。なるほど一理も二理もありそうなご意見です。オレも当時はそう思った。でも、これはJリーグ側に「プロ野球に合わせろ」と言っているようなものでね。日本のプロスポーツは、お互いに譲るとか、ファンの便宜を図るとか、およそそういうことには無関心なのです。だから、アメリカに選手をどんどん持っていかれたり、ブラジルに0対4で完敗なんてことになるんです、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、日本のプロスポーツは成熟社会じゃないんです。大人になれないプロ野球の球団と監督についてはあとで述べます。

 丸谷さんに戻れば、この方、ケモノヘンのつく横浜ファン(DeNAファンかどうかは聞くチャンスがありませんでした)。だから98年に横浜が日本一になったときは、もう大変な喜びようで「豊田君、僕をテレビに出してくれない?」と言ってきました。とにかくその喜び、うれしさを、日本中に届くように叫びたかったのでしょう。文芸雑誌のコラムじゃあ、ごくごく少数の人しか読んでくれませんからね。

 オレは当時、まだフジテレビと関係があったので、いろいろ頼んでみたのですが実現しなかった。メディアの最前線にいる人たちでも、「丸谷才一」のネームバリューが分からんのですよ。多分、丸谷さんの本なんか読んだこともないのでしょう。

 丸谷さんに出てもらえばね、「へ〜え。芥川賞作家も横浜ファンなのか」と視聴者は驚くハズです。ベイスターズにとっても、これはいいことなのに。フジテレビだってそうでしょうに。

 昔はね・・・

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