週刊ベースボールONLINE

大引啓次 内野手 #10

光の見えない苦しい日々

 

 腰の痛みと闘いながら苦しい夏のシーズンを過ごした。「もともと、痛みがある部分なのでうまく付き合っていかないといけない。まだ自分の中では打つ、守るがしっくりきてはいない」。現状に満足できないのか、悔しそうな表情で大引啓次は語った。

 7、8月とチームは勢いに乗ることができず、最下位に低迷している。大引自身も持病の腰痛が悪化。スタメンから姿を消し、欠場する日々が続いた。活躍を見せる場面もあったが、容体は悪くなる一方だった。

 7月8日のロッテ戦(QVCマリン)。3対3の9回一死で、この試合まで防御率0.00だった難攻不落の守護神・内から、左中間席へ決勝の3号ソロを運んだ。「試合中は集中しているので、痛みはないです」と明るく話したが、この日は痛み止めを服用しながら試合に備えていた。試合前後、オフの日も治療を行ってきたが万全の状態に回復することはなかった。

 昨年は初めての規定打席に到達し、チーム最多の42犠打(リーグ3位タイ)と52四球(リーグ7位)を記録。今季は不動の二番打者としてレギュラー死守、打率3割を目標に掲げ優勝に向け突き進むはずだった。だが腰痛によって微妙なズレが生じ、本来の粘りの打撃を見失った。今シーズンの打率は2割前半まで低迷し、もがき苦しんでいる。「開幕直後は打撃の調子が良かった。一つの違和感、ケガがここまで響くとは思っていなかった」。8月29日にはついに出場選手登録を抹消され、自身、チームにとって大誤算の夏となった。「この状況で、どこまで自分のプレーができるかだと思う」と話す大引の巻き返しはあるだろうか。

オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング