苦しい台所事情を強いられている先発陣で、何とも頼もしい存在へと成長を遂げた。先発ローテの6番手に滑り込んでつかんだチャンスを、
小杉陽太がしっかりものにした。開幕から上々のスタートを切り、堂々のマウンドさばきからは5年目の飛躍を感じさせる。
テークバックを小さくするフォーム改善が吉と出た。球の出どころが見づらく、打者は振り遅れが目立つようになった。もともと右打者の懐を突く
シュート、カーブ、スライダーなど変化球の引き出しは多い。兼ね備えていた技術に思い切ったモデルチェンジがはまり、欠かせない存在となった。
オフはみやざきフェ
ニックス・リーグ、台湾ウインター・リーグで腕を磨いた。めきめきと実力をつけていったが、開幕当初はまだ自分自身の力を信じ切れないでいた。そんな右腕を救ったのは友利投手コーチの言葉だ。
今季初勝利を挙げた4月11日の
広島戦(横浜)。3回までは毎回得点圏に走者を背負う苦しい立ち上がりだった。不安定な投球を続ける右腕に、友利コーチがカツを入れた。「おまえのことを信じていないのはおまえだけだ」。この一言で右腕の闘争心に火がついた。
18日の広島戦(マツダ広島)でも8回途中まで2失点とリードを保ち、先発の役目を果たして救援を仰いだ。最後は山口が打ち込まれてサヨナラ負けし2勝目は逃したが、試合後は「俊(山口)はウチの守護神。俊につなごうと思って投げていた。だから結果は気にしていない」と気丈に振る舞った。チームの敗戦に打ちひしがれながらも口にした仲間を思いやる言葉。心身ともに充実した右腕に、喜びの時は今後何度も訪れるはずだ。