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松永浩典 投手 #38

復活を見据える貴重な中継ぎ左腕

 



 左肩痛の完治を目指して着実に前進している。昨季、自己最多の56試合に登板し中継ぎ左腕としてフル回転した松永浩典。2月の春季キャンプで左肩に違和感を訴えてからファーム調整を続けているが、6月に入ってからは独自メニューで取り組んでいる練習のペースを徐々に上げている。

 5月中旬に手術を行い経過は順調だが、焦らずに完治を目指している。「今はしっかり治すことが先決。2月に痛めたときは悔しい気持ちしかなかった」。昨季、フルシーズン一軍に定着して存在感を示した左腕だけに、完全復活に懸ける思いは強い。黙々と西武第二球場で肩のリハビリに取り組む姿に心情が表れている。

 昨季は2勝12ホールドをマークした。横手投げに転向して今年が3年目。新しいフォームを自分のものにして一軍で結果を残したことで、今年はさらなる飛躍を期していた。現在、長期の戦線離脱を強いられているものの、下半身強化のためウエートトレに集中。「この段階を越えて次に進む。今が一番大事な時期。焦ることはない」と横田投手コーチは言う。

 今季、開幕からずっと首位争いをしているチームだが、投手陣に目を向けると左の中継ぎが不足している現状がある。5月、阪神の左腕・川崎をトレードで補強したが、もし松永が健在だったなら今季も左のワンポイントや、イニングをまたぐ救援でもフル回転していたはずだ。チームにとっても、今回の離脱は大きな痛手だった。

 かつて先発で投げていた左腕は、サイドスローへの転向で新境地を開いた。この長いブランクも決してムダにはしない。試練に直面した29歳は復活のときを見据えている。
オーロラビジョン

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