W BC日本代表の選手たちの成績は、シーズンに入って明暗が分かれている。最年少で出場した
今村猛は、「暗」の1人かもしれない。元来、夏場に調子を上げるタイプの右腕は、WBC本大会ではわずか2試合の登板。「できるだけ投げたい」と、開幕直前は二軍戦で調整。3月29日の開幕戦・
巨人戦(東京ドーム)から2試合連続のイニングまたぎを任され、フル回転のシーズンが再び始まった。
事件が起きたのは、4月25日の
ヤクルト戦(神宮)だ。2点リードの7回から登板。だが、連続四球を与え、
バレンティンに逆転3ランを浴びる。伏線があった。23日の同カードでは、同点の8回から登板。二死から連打を浴び二、三塁とされ、バレンティンに決勝の2点適時二塁打を許した。連続救援失敗に、試合後のスタンドからはヤジの雨。イラだつファンと同じか、いや、それ以上に22歳もフラストレーションがたまっていた。感情を抑えられず、その暴言に応戦してしまった。
そんな中、5月23日の交流戦・
西武戦(西武ドーム)で代表投手コーチだった
東尾修氏と再会した。「『オレの目が節穴だと言われるから頑張れよ』と言われました」。試合は7回二死一、三塁から登板し、オーティズを投ゴロに打ち取り、8回も無失点。「何とか顔を汚さない投球ができました」と笑顔を見せた。
昨季29試合連続無失点の球団記録は、5月22日から足かけ3カ月で樹立した。今季も徐々に調子を上げてきている。6月6日の同・
ロッテ戦(尾道)からの5連勝期間中は全試合に登板。絶対的な勝利の方程式として、信頼を回復させているところだ。