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倉義和 捕手 #40

若手投手陣を支えるベテランの存在感

 



 プロ16年目の倉義和には、「控え」という言葉を使うことさえおこがましく思える。シーズンで100試合以上に出場したのは、2005年の1シーズンのみ。そんなベテランが必要戦力でいられるのは、常に準備を怠らないからだ。「準備が大切。それしか言いようがない。それをしていないと、出たときに体の動きとか、キレが伴ってこない」

 今季も出番はやってきた。正捕手の石原がヒザを痛め、8月はスタメンでの出場機会が増えた。打率も3割前後をキープするなど好調。投手を気遣いながらのリードは、若手投手陣からの信頼も厚い。

 だが、そんな中で悔しいミスも犯してしまった。8月9日の巨人戦(マツダ広島)だ。4対0とリードしながら、試合終盤に悲劇が待っていた。1点差に迫られた8回、一死二、三塁のピンチで、巨人・坂本が放った浅い左飛で、三走の俊足・鈴木はタッチアップ。タイミングは完全にアウトだったが、倉がボールをこぼし同点に追いつかれた。その後、逆転を許し、痛い敗戦を喫した。

 リベンジは翌10日の同カードだ。2点差に迫った7回無死二、三塁で、巨人先発・杉内の直球を右中間に弾き返した。走者2人が生還し、自身も激走を見せ三塁へ。「なかなかないね」と、8年ぶりの三塁打に驚きの表情を見せた。チームは引き分けたが、やられっぱなしでは終わらない。

「もちろん、試合に出続けている方が、調整しやすいし、経験も生かしやすい」。倉が好調なため、石原の体調を考慮すると、選択肢が増えるのはチームにとって好材料。経験豊富な捕手を2人抱えるチームは、正念場を迎えるシーズン終盤に強みを生かす。
オーロラビジョン

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