今までにないシーズンを過ごしているのは
坂克彦だ。開幕からここまで内野のユーティリティーとしてベンチの期待に応えてきた。「せっかく使ってもらっているのでチャンスを生かして結果を出さなくてはいけないと思っています」
プロ10年目を迎えている。区切りの年は3年ぶりに開幕を一軍で迎え、今まで最多だった2010年シーズンの28試合出場を大幅に上回るプレーで活躍を続けている。
当初は代打、守備要員として起用されていた。スタメン出場が目立ってきたのは、西岡が体調不良に陥った夏場からだった。さらに坂の出番は新井良の負傷や不調による二軍降格などが重なって急増していった。
7月5日からの
広島3連戦(マツダ広島)は「一番」での起用だったが、同9日からの
中日2連戦(沖縄)では「七番・三塁」で気を吐いた。特に10日の同カードでは2失策を犯したが、V打となる先制タイムリーを放つなどアピールした。
試合終盤から出場するときには一、二番に入ることもあったが、スタメンで出場する際に多くの場合、「六番」「七番」の下位で働いてきた。8月13日の広島戦(京セラドーム)では、チームが最も苦手とする前田健の失投を逃さず、坂自身約3年ぶりの本塁打を放つ意外性を示した。
若手台頭も坂を奮い立たせている。今シーズンは関本のミットを借りて一塁守備に就いて好守を見せるなど、どん欲にプレーを続ける。坂は「打順はどこであろうとゲームに出て、残り試合でチームに貢献したい」と下位打線で渋い役割をこなしていく。