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上本崇司 内野手 #0

“3度目の正直”で見せた高い野球センスの片りん

 



 3度目の正直だった。9月11日のヤクルト戦(神宮)、上本崇司は「八番・三塁」で、プロ3度目となるスタメン出場を果たした。野村監督は「起爆剤としてね」と、CS争い真っただ中でのルーキーの起用を説明。明大時代に“ホームグラウンド”だった勝手知ったる神宮だったが、大学時代も未経験の三塁守備だ。だが、持ち前のセンスで難なく任務をまっとうすると、ついにメモリアル安打が生まれた。

 通算18打席目は、2回二死一、二塁で回ってきた。フルカウントと追い込まれながら、ヤクルト先発・石川が投じたチェンジアップに食らいついた。詰まりながらも中前に落とし、プロ初安打は先制適時打。プロ初打点が決勝打にもなった。「飛んだ所が良かった。(先発の)大竹(寛)さんを楽にしたかったし、(初安打は)うれしかったです」

 同7日のDeNA戦(横浜)では代打で出場し、中堅方向への大飛球をモーガンに好捕され初安打を逃した。プロの厳しさを知り、運のなさも悔やんでいただけに、喜びもひとしおだったに違いない。

 プロ初スタメンは、2度目の一軍昇格となった6月1日。交流戦・ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に、二番・二塁で出場。だが、沢村賞右腕・攝津の前に4打数無安打。「甘い球が全然来なかった」と一流の力を思い知らされた。

 投手に力負けせず対応できるよう、打撃フォームを修正。トップの位置を高くし、890グラムから910グラムのバットに替え、ヘッドが利くタイプにした。新井打撃コーチから「ヘッドを使え」と指導され、取り組んできたことが結果になった。結果とともに自信を手にしたルーキーが花開くのはこれからだ。
オーロラビジョン

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