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青木高広 投手 #43

どん底から味わう初めての歓喜

 



 昨年は開幕前に左ヒザを手術し、一軍での登板はなかった。今季4月下旬に広島から巨人にトレードで移籍。5月10日に出場選手登録されると、貴重な中継ぎ左腕として欠かせない存在となった。青木高広は「去年、野球ができなかった。1年間、悔いのないように。それだけを考えてやってきた」と充実した表情でペナントレースを振り返った。

 サイド気味の投球フォームで制球が良く、緩急を生かして投げ込む。優勝へのマジックナンバーが初点灯した8月9日の広島戦(マツダ広島)では3対4の7回を三者凡退に抑え、直後に味方が逆転して今季4勝目を手にし、「こういう流れを引き出していきたい」と胸を張った。連覇へ、2位・阪神との重要な直接対決となった8月27日からの3連戦(東京ドーム)でも、2試合に登板して無失点。第2戦では5回二死満塁でマートンを抑えるなど、1回無失点で白星を挙げた。「行けと言われた場所で、仕事をすることしか考えていない」と、ピンチでも動じることなく役割を全うした。

 2011年に76試合に登板した実績も持つ。ただ、当時を振り返り「あの時は質より量でやっていた。内容は良くなかった」と言う。巨人に移籍し、周囲の意識の高さに驚いた。「これだけすごい人たちが(陰で練習を)やっている。それに比べたら甘かった」と自戒を込める。日課のアーリーワークでも、周到な準備を心掛けるようになった。「今は意図がしっかり持てている」と違いを語る。

「投げることも走ることも当たり前のことじゃない。感謝の気持ちを持ってやっていきたい」と青木。謙虚に野球と向き合い、自己鍛錬を重ねていく。
オーロラビジョン

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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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