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アブレイユ 内野手 #42

テスト入団からのサクセスストーリー

 



 最高のコストパフォーマンスだった。ミチェル・アブレイユが痛快な快進撃で来日1年目を終えた。本塁打王が濃厚な31本、打率も.280と及第点。テスト入団した推定年俸わずか2000万円の大砲が大ブレークした。

 資金力豊富な他球団はメジャーでの実績十分の助っ人をそろえる中で開幕前は誰もその名前を気にしなかった存在。終わってみればスターダムへと上り詰めた。

 2月の春季キャンプでチャンスをつかんだ。テスト参加して、栗山監督ら首脳陣がその打撃スタイルに成功を確信した。野球大国キューバ出身で、ただのパワー任せではない理にかなった柔らかいバッティングフォーム。栗山監督は「オレは面白いんじゃないか、と思ったよ」とひと目惚れ。フロントらへと進言し、獲得へとこぎ着けた。もう1人の外国人野手のホフパワーへの刺激にもなれば、との考えもあった。

 開幕と同時にトップギアに入った。不動の四番の中田とアーチを競演して量産し、重量打線構築のスパイスになった。その活躍からすぐにファンの認知度も上がり、愛称は「アブちゃん」。さらに野球への真摯な姿勢、日々の練習に対する勤勉さから、チームにもすぐにとけ込んだ。アブレイユが「このチームは僕を受け入れてくれた」と感謝する環境も適応する大きな土台になった。

 テストを経ての契約時に、球団側に契約更新の選択権がある1年のオプションを付帯条件に加えていた。球団側は行使することが確実なため、2年目の来季残留も決定的な情勢。今季途中でホフパワーが退団しており、来季はアブレイユが名実ともに助っ人野手の大黒柱となる。
オーロラビジョン

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