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大原慎司 投手 #41

小さな体で大きな存在感

 



 小柄な体を存分に駆使して、プロの世界で必死に生きてきた。大原慎司は2011年にドラフト5位で入団して以降、ブルペンを支える貴重な左腕としてフル回転。174センチ66キロの体に秘めたエネルギーと技術を余すことなく使い、打者を打ち取ってきた。

 ルーキーイヤーから存在感は十分だった。横すべりするスライダーを武器に『左キラー』として名を馳せた。連日登板に備え、名前を呼ばれればマウンドで懸命に腕を振った。いきなり71試合登板を果たし、当時のセ・リーグ新人最多登板記録に到達。無我夢中で過ごした日々の積み重ねが実り「あまり実感がない。プロに入る自信もなかったのに、こんなにやれてびっくりしている」と謙虚な人柄そのままの感想を口にした。ただ周囲に与えたインパクトは十分だった。チームメートだけでなく、相手チームにもタフネス左腕として印象が刻まれた。

 ただ2年目は新戦力の加入などもあり、33試合の登板にとどまった。今季限りで退団した友利投手コーチ(現中日投手コーチ)は「週の初めに投げさせると、週末には登板できない状況になっていた。課題は体力」と指摘した。今年の春季キャンプでは徹底的に体をいじめ抜いた。その成果はシーズンに入ってから現れ、終わってみればリーグ8位の58試合に登板した。7月6日の巨人戦(東京ドーム)では9回を締め、3年目でプロ初セーブをマークした。

 細身の体で、目を引くような直球を投げ込むわけではない。それでも中畑監督は「ウチの中継ぎエース的な存在」と絶大な信頼を寄せる。唯一無二の存在として、大原はプロの世界で自らの働き場所を確立した。
オーロラビジョン

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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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