開幕後の4月下旬にトレードで
広島から
巨人への移籍が決まった。5月10日に出場選手登録され、その後は中継ぎ左腕として存在感を増していった。
青木高広は新天地で刺激を受けた日々を振り返り「野球観が変わった。野球人生も違うものになった」と笑顔を浮かべた。
昨年3月に左ヒザの手術を受け、昨季は登板ゼロに終わった。走ることもできなかった昨年のことを思えば、今の自分の姿は「考えられないし、思ってもみなかった」。つらいリハビリに耐えたからこそ、マウンドに立て、心地よい歓声を浴びることができる。「あのリハビリの時間があるから今がある。支えてくれた家族や、応援してくれた方々に感謝したい」と謙虚な左腕は周囲に頭を下げた。
11月26日で32歳になるが、巨人では新たなことを学ぶ毎日だった。実績のある選手が試合の何時間も前から来て、準備する。それぞれが目的を持ち、意識も高い。もちろん、青木自身も広島時代から練習量は豊富だったが「今までの僕は何をしていたんだろう」と思わされた。ストレッチやインナーマッスルの強化など、基本的なところから見直し、日々の練習につなげた。それが、成績にもきっちり表れた。レギュラーシーズンでは34試合に登板し、5勝1敗、防御率2.87。左の中継ぎの層が厚いとは言えないチームにあって、間違いなく貴重な戦力だった。「味わったことがない、すごい雰囲気だった」と広島時代には経験できなかった日本シリーズのマウンドにも立った。
「精神面で基本的な部分、忘れていたものが戻ってきた」。野球ができる喜びを再確認した、青木の原点回帰のシーズンだった。