週刊ベースボールONLINE

高橋大樹 外野手 #25

生きる道を定めた2013年シーズン

 



 高卒ルーキーという立場を考慮しても、間違いなく苦しんだ。一昨年、ドラフト1位指名を受けた高橋大樹は今、巻き返しに燃えている。「昨年は19年間の中で一番早かった」。苦笑いする表情に悔しさがにじみ出た。

 龍谷大平安高ではパワーヒッターとして名をとどろかせ、高校通算43本塁打を記録。高校日本代表でも主軸を任された。将来性豊かな長距離砲――。鳴り物入りで入団したまでは良かったが、いきなり分厚い壁にぶち当たった。「前半戦だけで50本以上バットを折ってしまって……」

 入寮前に用意した巨人・長野モデルのバットも、芯でとらえられなければ意味がない。フリー打撃では豪快なサク越え弾を披露した直後、ファウルチップに苦笑いする場面も目立った。木製バットへの対応に苦しみ、1年目はウエスタン・リーグ61試合で打率.219、2本塁打、12打点。一軍デビューは同期入団でドラフト2位の鈴木誠に先を越されてしまった。

 とはいえ、2年目に向けて手応えをつかんだのも事実だ。「下半身に体重を乗せて上から振ることを、後半戦は実践できるようになった。バットを折ることも後半戦は少なくなったし、フェニックス・リーグでも結果を出せた。今年は絶対に一軍に上がりたい」。目の輝きに自信が見え隠れする。

 ドラフト会議当日には「最多安打を取れる選手になりたい」と宣言したが、プロ1年目を経験して考えを改めた。「何で言ったんだろう? 自分は鈴木(誠)とは違うタイプのバッター。長打を打てるバッターにならないといけない」。生きる道を定めた2013年。そう考えれば、有意義な1年間だったのかもしれない。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング