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大場翔太 投手 #29

新たな輝きを作り出すために

 



 ダウン提示は覚悟していた。昨年末の契約更改交渉。大場翔太は現状維持の1600万円という、温情に満ちた提示に「本当にありがたいこと」と感謝した。「でも、これ以上、球団に迷惑をかけられない。毎年、期待してくださるのに、何もお返しできてない。もう甘えてはいけない。次、ダメなら野球をやめる。そのくらいの気持ちで臨みます。本当の意味で勝負のシーズン」。背番号は入団から6年間、背負った「17」から「29」に変更。自身の言葉で退路を断ち、野球人生を懸けたシーズンにする。

 昨年はグラウンド以前の問題で出足からつまずいた。2月の宮崎春季キャンプでA組(一軍)スタートを切りながら、第3クール初日に寝坊。練習に遅刻する失態を犯し、即B組(二軍)降格のペナルティーを課された。「何も言い訳できない。自分の甘さ」。当然の開幕二軍スタート。先発陣の故障離脱などで5月に2度の先発機会を得ながら、いずれも黒星を喫し、2年連続のシーズン2勝に終わった。

 東洋大4年秋の神宮大会で、2完封を含む3連続完投勝利で優勝。「平成の鉄腕」の異名を取り、ドラフトでは6球団から1位指名を受けた。プロ1年目の2008年はリーグ史上初の初登板、無四球完封デビュー。2試合連続無四球完封は球団新の16奪三振で飾った。ただ、以後は失速。11年8月、5試合に先発し1完封を含む4勝1敗の活躍で初の月間MVPとなったが、ハイライトはそのぐらいだ。「求められるならどこでも」。今季のポジションについてそう言ってから「先発にはこだわりがある」とも言った。輝きを取り戻す、のではない。新たに輝きを作り出す、真価が問われる7年目を迎える。
オーロラビジョン

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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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