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加藤伸一 コーチ #72

加藤伸一コーチ 促すのはマウンドでの自立

 



 二軍投手コーチを3年務め、一軍へ配置転換された加藤伸一投手コーチ。特に若手の特徴を把握している点で、投手陣底上げのカギを握っている。昨季は千賀や嘉弥真を一軍に送り出し、ブレークさせた。シーズン終盤に3連勝と真価を発揮し始めたドラフト1位・東浜を二軍で磨き直した実績もある。

 配置転換され、まず説いたのは依存心の排除。「先発、中継ぎを問わず、投手には昨年より1イニングでも多く投げてほしい。特に先発は完投する気概が必要」。5年ぶりのBクラスに沈んだ昨季は、思ってもみない先発のコマ不足が響いた。15勝のエース・攝津に続く存在がおらず、先発のやりくりに最後まで苦心した結果、チーム防御率はチーム順位と同じリーグ4位の3.56。まず先発の立て直しを図るべく、巨大戦力を2月中から競争させ、ふるいにかけている。

 ダイエー、広島オリックス、近鉄を渡り歩いた現役時代は、鋭いシュートを最大の武器とした。「もっと内角を大胆に使うことがあってもよかった。打者に踏み込ませないことで、投手が優位に立てる。内角を突くには練習はもちろん、闘争心も必要。『打てるもんなら打ってみろ』という気迫を前面に出してほしい」と強調する。

 自身は39歳シーズンまでプレー、1996年に広島でカムバック賞も受賞した。それだけに二軍暮らしが長くなったベテランもたたき直すつもりだ。「寺原は直球にもっと自信を持ってほしい。緩急も必要だからパームボールの習得を勧めた。新垣はまだ危機感が足りない。尻に火がついたと感じてやってほしい」。指導は厳しくも的確。個々の希望、スタイルも尊重した上での助言に、選手の信頼は厚い。
オーロラビジョン

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週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

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