“ポスト井端”は、意外な男が務めそうだ。谷繁新監督の下、高橋周を強化指定選手として鍛えてきたが、オープン戦の打率が1割を切る大不振に首脳陣は3月11日に二軍への降格を決断。方針を転換した。そこで急浮上してきたのが
アンダーソン・エルナンデスだ。
「監督が僕の名前を開幕スタメンに書いてくれたら、すごくうれしいよ」
31歳のカリビアン。メジャー通算6本塁打だが、昨季はメキシコでプレーした。森ヘッドコーチがドミニカ共和国のウインター・リーグを視察して獲得。ただ、攻撃力が弱く、高橋周を育てたいチーム事情から、当初は外国人枠争いで劣勢と見られていた。
先発投手の
カブレラと、首位打者候補のルナはすでに当確。中継ぎのパヤノと長打力のあるゴメスをエルナンデスは追っていた。が、高橋周の不振だけでなくエルナンデス自身も実戦での打率.385(3月11日現在)と結果を残し、ムードが一変した。「必ずチャンスはくる。しっかり準備はしておけ」
日本での先輩・ルナからの助言に従った。3Aとドミニカで計5度のゴールデングラブ賞を獲得し、尊敬する選手はオジー・
スミス。長打力はなくとも守備力は期待できる。辻内野守備走塁コーチも「リストが強く、グラブの使い方も日本人にはマネできないうまさがある」と絶賛する。
「スタメンという形も出てくると思う」。谷繁監督は慎重ながら、エルナンデスの起用法を示唆した。
「試合に出ることは楽しいよ」と笑う明るい男が、球界でも珍しい外国人遊撃手として定着するかもしれない。