カープの精神的支柱は
梵英心に違いない。キャプテン制を敷かない方針の中で、オフに新選手会長に就任。若手中心のチームをピリリと引き締めている。「カープは他球団と比べて、フロントに意見を言いやすい環境にある。選手同士もそう。それが『なあなあ』になると違う方向に向かってしまう。なれ合いをなくさないと甘えにつながってしまうし、僕が厳しいことを言う役割もしないといけない」
生え抜き9年目の33歳。グラウンドで厳しさを見せる硬派な一面もあれば、プライベートでは軟派に変身することもできる。昨季も若手を食事やカラオケに誘い、ヒーローインタビューの際は「水かけ」のいたずらを仕掛けたり……。「そういう場で盛り上がれば、距離が近くなってコミュニケーションも取りやすくなりますからね」。硬軟を使い分け、変幻自在にナインをまとめていくつもりだ。
野手陣の柱として、今季はフル稼働が大目標になる。オフには「144試合全部出るつもりでやります」と宣言していた。12年オフに右ヒザを手術。昨季は慎重に患部をケアしながら、117試合出場で打率.304の好成績を残した。
今春キャンプは首脳陣から絶大なる信頼を寄せられ、あえての二軍キャンプスタート。前年と同じ流れで慎重に右ヒザをチェックし、満を持して3月5日に一軍へ合流した。
大方の予想どおり、今季も不動の遊撃レギュラーに君臨する予定だ。攻守走すべてでチームを引っ張る覚悟がある。「一番はやっぱり優勝したい。自分もその中にいたい」。23年ぶりV奪回へ。新選手会長の存在なくして、悲願達成は成り立たない。