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福谷浩司投手・豪腕セットアッパー、2年目の飛躍なるか

 



 覚せい近し――。そう思わせるだけの剛球が、谷繁兼任監督のミットに突き刺さっている。昨季のドラフト1位・福谷浩司が、初の開幕一軍。いきなり3月28日の開幕戦(対広島、ナゴヤドーム)で登板機会を与えられた。しかも同点の9回。重圧のかかるマウンドで、福谷は結果を出した。梵を三ゴロ、エルドレッド、堂林を連続三振に打ち取ってベンチに小走りで帰還した。

「緊張はしましたが、コーチからも『思い切って腕を振れ』と言われているので、結果を恐れず投げています」

 昨季は登板9試合、1敗3ホールド、防御率7.36という成績に終わっている。一軍定着の障害となったのは、慶大時代から苦しめられている右内転筋痛だった。通称「本格派泣かせ」とも言われるこの筋肉の故障は、トレーニングで克服しづらい上に、投手にとっては力強い球を投げるための足かせとなる。福谷はスパイクの刃の数を左右で変えるなど工夫をこらし、首脳陣も連投を避けるなど新たに出現した豪腕の離脱を防ぐために配慮している。

 中1日空けた30日の同カードでは6点リードの9回を任された。再び3人で試合を締め、谷繁監督に初勝利を捧げた。右ヒジ痛の浅尾の長期離脱が確実な状況で、福谷の存在は貴重なプラス材料。今の中日には少ないパワーピッチャーであることも大きな魅力だ。150キロを超える球速で、打者を圧倒する。1年遅れながら、スカウト部が期待した姿になりつつある。「ケガをせずに、しっかりチームに貢献したいです」

 理工学部卒の秀才セットアッパーの名が、全国に広まる日が来るかもしれない。
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