背番号と同じプロ「10」年目の今季を、勝負の年と位置づけている。
大松尚逸、32歳。
ロッテが誇る左の和製大砲は、ここ数年は満足できるような結果が残せていない。若きライバルの加入で、危機感を持って節目のシーズンに臨んでいる。
「例年のことですけど、常に危機感は持っていますよ。とにかくアピールすることだけを考えてやるだけ。チャンスは決して多くはないはず。そこでどれだけの結果を残せるかが勝負です」
昨年、外野手から内野手にコンバートされた。守備位置は一塁手。同じポジションに今季、「幕張のアジャ」ことドラフト5位の右の巨漢ルーキー・
井上晴哉が加入した。オープン戦では新人でドラフト制度以降初となる首位打者を獲得。球団の新人では64年ぶり2人目となる開幕戦四番も務めた期待の和製大砲だ。「やっぱり新人には負けられない気持ちが根底にはありますよ、もちろんね」。自らの存在を脅かしているのがルーキーとあって、ライバル心をむき出しにしている。ただ、負けないものはある。それは蓄積してきた経験だ。
開幕一軍の座はつかんだが、確かにチャンスは多くない。4月9日までスタメン出場は4月2日の
西武戦(QVCマリン)と、同9日の
オリックス戦(京セラドーム)の2試合のみだった。だが、9日のオリックス戦では2回に今季初安打となる先制ソロを放ち、起用に応えた。
誰よりも真摯に野球に向き合う姿勢は若手のお手本だ。人間性も素晴らしく、後輩たちはみな慕っている。長い不振が続いてるのは事実だ。しかし、競争心に火が付いた今季の大松なら、トンネルを抜け出してくれそうだ。