開幕から、打線で2つの誤算が生じた。主砲・中村が背中の張りで開幕に間に合わなかったことに加え、五番・DH候補としていた
坂田遼が左肩脱臼を再発。クリーンアップ候補がそろって抜ける緊急事態に、急きょ、打順の大幅組み換えが必要とされた。
当初四番復帰が既定路線だった中村の位置には、昨季も四番で実績を残した浅村がいるため、すんなりと埋まったが、五番に関しては、打撃不振のチームの中で効果的な役割を果たす適任者が見つからない状態が続いている。
中村は4月25日に一軍復帰も、坂田は同18日に手術に踏み切り、長期の離脱を余儀なくされている。オープン戦で結果を残せなかったとはいえ、二軍調整後に早期の一軍復帰が期待されていた五番打者の不在は大きな誤算となった。
キャンプ前から、首脳陣からは今季のキーマンとして挙げられていた。「浅村、中村が右、ランサムも右という中で、左の長距離砲・坂田はキーポイント。その坂田が万全の状態で収まっていてくれれば、浅村のプレッシャーも軽減されるし、仮に中村にケガ明けの不安な部分があったとしても、浅村と坂田でしっかり固めることができた。秋山や栗山の打順を動かす必要もなかった」と、宮地打撃コーチは痛恨の表情で語る。自身6度の脱臼を繰り返した同コーチは、昨季も左肩脱臼で離脱した坂田にケアの重要性を説いただけに、無念の思いもひとしおだ。
とはいえ、誰よりも悔しい思いをしているのは坂田自身だ。「まずはしっかりと治して、二度と繰り返さないようにしたい」。この“誤算”を糧とできるように、今は多くのものを学び、進化した姿を見せることを誓う。