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柿田裕太投手・一軍デビュー目前のドラ1

 



 ようやく戦えるところまでたどりついた。日を追うごとに、柿田裕太の表情は充実度を増していった。「今のままではダメだと思っています。やっぱり、一軍で活躍しないと意味ないですから」。ドラフト1位の右腕。言葉は謙虚でも、即戦力であることを示し始めた。

 2月の沖縄・宜野湾キャンプは一軍スタートだった。ヤクルト・小川のように右足を高く上げ、腕を振る独特のフォーム。中畑監督は「ハマのライアンだな」と開幕ローテ候補として注目した。

 期待が高まる一方で、柿田本人は苦笑いで振り返った。「何もかもが初めてですから。どんな練習が自分に合って、合わないのか。本当に分からなかった……」。練習方法やペース配分など、すべてが手探り。すると、キャンプ終盤には右ヒジ痛に見舞われた。ヒジが内側に曲がらず、長期離脱も覚悟した。軽い炎症で済んだが、実戦登板は4月下旬までズレ込んだ。

 現状を受け止め、決して気落ちすることはなかった。久保が「自分のことを冷静に見ることができる人間」と証言する性格の持ち主。イースタン・リーグでは、主に先発として6試合で4勝1敗、防御率2.25。ルーキーの苦悩と努力は、中畑監督もしっかりと見ていた。「柿田は一軍に近いところまで来てる。若いパワーピッチャーでローテーションを組む。これは俺の理想でもあるから」。交流戦後は再び、先発が6枚必要になる。井納、久保、国吉、抑えから転向した山口、大ベテランの三浦……。柿田も一角に食い込めると、首脳陣の評価を上げている。「僕は結果を求めてやるしかない」。DeNA浮上のカギを握る1人。待望の一軍デビューは目前だ。
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