週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

岩村明憲内野手・チームの救世主に

 



 歓声が悲鳴に変わった。6月8日の西武戦(神宮)の6回、二塁走者の畠山が本塁へ向かう途中に左太もも裏を負傷した。自力で歩けなくなり、相川とトレーナーの2人に抱えられての交代。翌9日に登録抹消され、11日の検査の結果、左大腿二頭筋の肉離れと診断された。今季は打率.319、7本塁打、チームトップの44打点と絶好調だっただけに「あまりにも痛い」と小川監督は嘆いた。

 この緊急事態に際し、出場選手登録されたのは、開幕当初に左の代打として起用されてきたプロ14年目35歳の岩村明憲だ。9日に一軍に合流すると、即「七番・一塁」で出場。昨年の7月以来、約1年ぶりのスタメンとなった。「結果を出すしかない」との短い言葉のとおり、復帰戦は3打数1安打1四球とチームに貢献。不安を感じていた慣れない一塁の守備も無難にこなした。「特別不安な感じはなかった。これである程度ファーストでいけると思う」と指揮官も太鼓判を押した。

 これまで代打での起用が多かっただけに、3打席、4打席と勝負ができるスタメンはまたとないチャンスだ。「パンチ力があるので、大きいのを期待できる。チームの窮地を救うために(一塁手としても)盛り上げていってほしい」と真中チーフ打撃コーチも期待を寄せる。「そうそうチャンスはないと思うので、プレッシャーにならないように。それをいいモチベーションにして取り組みたい」と背番号48。淡々とした語り口ながらも、その表情には意欲がみなぎる。「これまでより状態はいい。1試合1試合、1打席1打席、気持ちを込めてやっていきたい」。チームを救うべく、静かな闘志を燃やしている。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング