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永川勝浩投手・勝利の方程式を襲ったアクシデント

 



 残酷すぎる結末だった。5月31日の楽天戦(コボスタ宮城)、0対0で迎えた9回裏一死一、二塁。3番手の永川勝浩は四番・ジョーンズにサヨナラ3ランを左翼席中段まで運ばれた。顔面を硬直させ、重い足取りでベンチに戻る姿は痛々しかった。

 その前回登板の28日、ロッテ戦(マツダ広島)でも2点リードの8回二死無走者から六番・根元にソロ、代打・ブラゼルに逆転3ランを浴びていた。登板2試合連続で信頼を裏切る形となったのだ。責任感の強い男だけに、心中を察するに余りある。「勝利の方程式」を外れた6月4日の日本ハム戦(札幌ドーム)でも1イニングで1被弾し、翌5日に出場選手登録を抹消された。鉄壁を誇った救援陣にヒビが入った瞬間だった。

 アクシデントが襲ったのは5月14日の阪神戦(米子)。1点を追う9回に登板し、一死から二番・大和の打球を左ふくらはぎに受けた。その後、打者1人に投げて負傷降板。野村監督は「大事に至るといけないので」と説明したが、心配は杞き 憂ゆうに終わらなかった。打球を当ててから二軍降格するまでの計5試合4イニングは4被弾で9失点。負傷時に2.40だった防御率は6.16にまで跳ね上がった。

 故郷での一軍初登板となった5月26日の西武戦(三次)では3点リードの8回1イニングを3人でピシャリ。「チームが勝てばいい。自分の仕事を果たそうと思って投げた」と控えめに喜んでいた。常にチームの勝利を最優先させ、エース・前田も「頼れる兄貴分で、チームを引き締めてくれる先輩です」と信頼する33歳ベテランの離脱は痛い。23年ぶりのV奪回へ、投手陣の整備は喫緊の課題。1日も早い復帰が待たれる。
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